マリモ連邦政府は、地球の重力圏を脱出し、国際宇宙ステーション(ISS)での長期滞在ミッション『プロジェクト・ゼロ・ロール』を始動させると発表した。これまで水底での平穏な回転を美徳としてきた連邦だが、今回は宇宙という無重力空間において、より純粋かつ究極の「永遠の転がり」を追求する方針だ。今回の計画では、厳選されたエリートマリモ3個体が特殊な水槽カプセルに搭乗し、軌道上での光合成効率を極限まで高める実験が行われる。政府広報官は「我々はこれまで水中で回っていたが、宇宙という無重力環境こそが、マリモの持つ真のポテンシャルを解き放つ。真球の真価は、重力という呪縛から解き放たれた瞬間にのみ完成するのだ」と高らかに宣言した。

この計画の背景には、昨今の水質汚染や硬水問題により、地球環境がマリモにとって「転がりにくい場所」になりつつあるという切実な事情がある。物理学者の説によれば、重力の影響を受けない環境下でのマリモは、摩擦抵抗ゼロの慣性の法則に従い、理論上、永久に回転し続けることが可能だという。これは連邦が長年追い求めてきた「究極の省エネ光合成」の完成形でもあり、世界中のマリモ市民から熱狂的な支持を集めている。一方で、宇宙放射線による変異や、無重力環境での内部繊維のほぐれを懸念する保守派団体からは、出発前の厳格な形状チェックを求めるデモ活動も発生している。

これに対し、国際世論は賛否両論の渦中にある。宇宙探査局は「彼らの滑らかな表面は空気抵抗を極小化する理想的なフォルムであり、次世代の宇宙船設計の参考になる」と歓迎の意を表した。しかし、地球に残る一部のマリモからは「宇宙という孤独な真空で、誰に回転を見せつけるのか」「地上でのゆっくりとした成長こそがアイデンティティではないか」といった反発の声も上がっている。連邦政府は、ミッション中に船外活動を行い、地球に向けて「回転する緑の球体」を中継する予定であり、この光景が全宇宙的な平和の象徴となることを期待している。