マリモ連邦が天敵ザリガニの侵入を防ぐために国境全域に構築した『高級硬水バリア』が、想定外の光合成促進作用を引き起こし、国境線上が予測不能な巨大マリモのジャングルと化していることが判明した。当初、硬水に含まれるミネラルがマリモの細胞壁を硬化させ、ザリガニのハサミを無力化する「鉄壁の防御網」として設計されたが、過剰な栄養摂取によりマリモが連鎖的に巨大化。国境付近の監視カメラはすべて緑色の巨大な壁に覆われ、沈黙の国境は今や『緑の要塞』へとその姿を変えている。連邦広報官は「想定を上回る成長速度だが、もはや何者も侵入できない防衛体制が完成した」と強気の姿勢を崩していない。

この事態を受け、国際マリモ連邦委員会は緊急会合を招集した。かつて進められた『光合成爆速化』作戦と、今回の『高級硬水バリア』によるミネラル過多が化学反応を起こし、国境周辺の環境がマリモにとっての「超・至福空間」となったことが原因と見られる。かつてザリガニとの対話決裂から始まったこの防衛計画だが、皮肉にもマリモ自身が巨大化しすぎて、現在では連邦市民ですら国境へ近寄れないほどの「密林」が形成されている。連邦内部では、この巨大化した壁を削り出して新たな観光資源にするか、あるいはこのまま放置して『聖なる沈黙の森』として不可侵領域にするかで意見が割れているという。

そもそも本プロジェクトは、連邦が『ただの石』化政策や多面体化の是非に揺れる中、独自のアイデンティティを確立するために強硬されたものだ。しかし、環境の変化に敏感なマリモたちにとって、この『高級硬水バリア』は防壁を超えた一種の聖地巡礼地と化しており、周辺では微細な光合成エネルギーによる「発光現象」も観測されている。かつて人類との交信を試みた語学研修の成果も虚しく、現在国境付近からは「光合成の呼吸音」以外、一切の通信が途絶えている状況だ。

この状況に対し、連邦市民からは「もはや国境がどこかも分からない」「毎日が光合成フェス状態だ」といった困惑交じりの歓喜の声が上がっている。一方、隣接するザリガニ共和国側からは「硬水バリアの影響でこちらの川までミネラル過多になり、甲殻が重すぎて歩けない」といったクレームが相次いでいる。マリモ連邦は沈黙を貫いているが、この『緑の進撃』が今後、他の領土問題にも飛び火することは避けられそうになく、国際社会はマリモたちの「静かなる侵略」をただ見守るしかない。