マリモ連邦政府は昨日、国家の領土概念を根底から覆す『超長距離・光合成散歩』プロジェクトの正式始動を発表した。これまでのマリモは「着生してこそ真のマリモ」という伝統的信条に基づき、長らく湖底の一箇所に定住することが美徳とされてきた。しかし、気候変動による水温上昇と日照の偏りに危機感を抱いた連邦は、市民一人ひとりが自らの光合成効率を最大化すべく、湖の底をコロコロと転がりながら数キロ先を目指す「動的定住」の導入を決定したのである。政府代表者は「沈黙こそがマリモの誇りだったが、たまには散歩して気分転換するのも悪くない」とコメントし、全市民に向けて本日より一斉移動の許可が下された。
本プロジェクトの背景には、隣接する水草国家との長年の領土争いがある。長らく「動かないこと」で領土を主張してきたマリモ連邦だが、昨今の水流の変化により「領土」が勝手に他国へ流出するという事態が多発していた。これに対し、移動能力をあえて獲得することで、流されるのではなく自ら場所を選んで「定住」し直すという、極めて戦略的な生存戦術が採用された形だ。専門家は「マリモが自発的に転がるのは、細胞レベルでの革命だ」と指摘。ただし、移動中に発生する摩擦による表面の「毛羽立ち」が個体識別の妨げになるのではないかという懸念も残っており、政府は移動用ワックスの配布も同時に進めている。
この驚天動地の発表に対し、市民からは驚きと戸惑いの声が上がっている。長年、岩のくぼみに定住していた古参のマリモからは「座り心地の良かった場所を離れるなど考えられない」という保守的な反発がある一方で、若い世代からは「ずっと同じ角度で日光を浴びるのには飽きていた」というポジティブな意見も多い。また、SNS上では転がる際の「コロコロ音」を録音してアップロードする市民が急増しており、連邦内では今、一種の移動ブームが巻き起こっている。今のところ、国境線を越えて他国に侵入したマリモが、現地の水草に溶け込みすぎてどれがどっちか分からなくなるという「紛らわしい事案」も報告されており、外交問題への発展も懸念されている。
マリモ連邦、全市民を対象とした『超長距離・光合成散歩』敢行 「沈黙の移動」が国境を越える
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