「ただの納豆に、宇宙の真理を見出したかった」。そう語るのは、自宅で50年間、毎日納豆を混ぜ続けてきた羽田野健一さん(72)です。羽田野さんの日課は、朝食の納豆を箸で10万回以上かき混ぜ、ネバネバを極限まで昇華させることでした。彼が目指していたのは、納豆の糸が複雑に絡み合い、もはや個体とも液体ともつかない「究極の粘体」を作り上げることでした。

事件は今朝、いつものように超高速回転で混ぜていた際に発生しました。羽田野さんの手元は、音速を超える領域に達していたといいます。通常の箸では追いつかず、特注のチタン合金製撹拌棒を使用していたところ、茶碗の中の納豆が突如として青白く発光し始めました。周辺の空気が歪み、室内のスプーンや醤油差しが次々と茶碗の中へ吸い込まれていく異常事態に、羽田野さんは一瞬困惑したといいます。

現場に駆けつけた近所の住民によると、羽田野さんのリビングからは不気味な重低音が響き渡り、納豆の香ばしい匂いとともに、時空の歪みが目視できたとのことです。茶碗の中央には小さな光の渦が発生しており、それはまさにミニチュアのブラックホールでした。羽田野さんの納豆は、もはや食材という枠組みを超え、重力子を放つ特異点へと進化を遂げていたのです。

しかし、この驚天動地の事態に羽田野さんは意外な反応を見せました。彼は茶碗のブラックホールを見つめながら、「混ぜすぎて糸が切れちゃったな。これじゃあ、ご飯に乗せても味が馴染まないよ」と、自身の技術不足を嘆くばかり。周囲の惨状や、時空が歪んでいることについては完全に眼中にない様子でした。

結局、ブラックホールは納豆が糸を引きながら崩壊することで収束に向かい、羽田野さんの食卓には、見たこともないほどクリーミーで、かつ時空を切り裂くような風味を持つ「銀河納豆」が完成しました。羽田野さんは「次は少し回転速度を落として、超新星爆発を防ぐのが課題だ」と、早くも明日以降の納豆戦略について熱弁をふるっています。

今回の件を受け、近隣自治体は「納豆の混ぜすぎには注意」との広報を出しましたが、羽田野さんの情熱は冷めることを知りません。彼は現在、納豆の糸を光速まで加速させるための専用遠心分離機を開発中とのこと。食卓から銀河が生まれる日も、そう遠くはないかもしれません。