羽田野氏が開発した『バター・バズーカ・システム』は、室温で柔らかくしたバターを、時速200キロの超高圧で噴射する画期的な装置である。従来のバターナイフによる塗布が「ムラができる」という不満から開発がスタートした。

「バターナイフは人間味が出すぎてしまう。私は食パンの毛細血管一つ一つに、極限までバターを浸透させたかったのです」と語る羽田野氏の目は、朝食を食べるというよりも、何か軍事作戦を指揮する将軍のような鋭さを帯びている。

実演では、食パンが装置の前にセットされた。カウントダウンと共に装置が駆動すると、轟音とともに純白のバターがパンを直撃。次の瞬間、食パンはバターの衝撃圧に耐えきれず、完全に粉砕されて部屋の壁面にまで飛散した。

周囲をバターまみれにした羽田野氏は、「成功だ」と満足げに頷いた。確かにパンの断片には、原子レベルまで均一にバターがコーティングされているのが確認できる。ただ、これではパンを食べるというより、部屋全体が巨大なトーストになっただけである。

近所の住民は「毎朝、壁から美味しそうな香りがするが、部屋の掃除が大変そうなので関わらないようにしている」と困惑気味に語る。食パンが原型を留めていない問題については、現在、強力な接着剤を混ぜることで解決を図るという、さらなる狂気の研究が進められている。

最終的に羽田野氏は、装置の噴射ノズルを改良し、今後は「トーストの表面にバターで正確な肖像画を描く」という目標を掲げている。だが、直近の実験では、自分の顔を描こうとしてバターの圧力で鏡が割れるという事故が発生し、本人もバターを被る結果となった。