都内在住の会社員、羽田野健一さん(34)は、幼少期より『納豆は一万回かき混ぜることで空気に溶け込み、天上の食感になる』という独自理論を提唱してきた。しかし、手作業では限界を感じた羽田野さんは、ジェットエンジンの原理を応用した超高速回転式納豆攪拌機『ネバネバ・ターボMk-II』を独力で設計した。

実験当日、羽田野さんは最高級の小粒納豆を容器に投入し、スイッチをオンにした。機械は静かに唸りを上げ、当初は順調に見えた。しかし、回転数がマッハの領域に達した瞬間、納豆のネバネバ成分は重力を無視し、黄金色の渦となってキッチンを埋め尽くす猛威を振るい始めた。

「計算では粘度が空気抵抗を打ち消すはずだった」と羽田野さんは語る。しかし、あまりの高速回転により納豆は固体から未知のプラズマ状態へと変貌。その圧力は尋常ではなく、衝撃波を伴ってキッチンの壁を突き破り、隣家の庭先まで納豆の糸を一本も残さず一直線に放出したのである。

駆けつけた近隣住民は、窓から飛び出してきた「時速800キロの納豆ミサイル」に唖然としたという。被害状況について警察は「壁は破壊されたが、なぜか部屋の中には芳醇な大豆の香りと、宇宙一フワフワに仕上がった納豆が数粒だけ残っていた」と困惑気味に報告した。

結局、羽田野さんの挑戦は、家の壁の修繕費という痛恨の対価を払うこととなった。現在、彼はこの失敗を教訓に、「今度は納豆を極低温で凍らせてから混ぜる『絶対零度攪拌』を計画している」と、懲りない姿勢を見せている。

なお、空飛ぶ納豆の直撃を受けた隣家の犬は、そのあまりの美味しさに、それ以来ドッグフードを一切受け付けなくなったという。