羽田野氏は先週の火曜日、朝食の納豆をかき混ぜる際に、箸の回転速度が音速の壁を超える可能性があるという仮説を立て、キッチンで実験を開始した。彼は時速約40キロの高速回転を維持するために、特注の小型モーターを取り付けた電動箸を自作し、納豆パックに向けて起動した。

実験開始から3分後、納豆の糸は強靭な合金のように空中で固まり、パックを中心にして半径2メートルの範囲で微弱な上昇気流が発生。室内には納豆の香りが充満する低気圧帯が形成され、羽田野氏のキッチンは局所的な「納豆嵐」に包まれた。

近隣住民からは「急に空から糸のようなものが降ってきた」「大豆の香りがする竜巻を見た」との通報が相次ぎ、駆けつけた消防隊員は、室内の天井に吸い付いて動けなくなっている羽田野氏を発見。彼は空中で回転する納豆の塊に引っぱられ、まるで無重力状態の宇宙飛行士のようなポーズで静止していたという。

救出された羽田野氏は、「混ぜれば混ぜるほど美味しさが増すと聞いていた。竜巻が発生した瞬間、納豆が『もう十分に混ざったよ』と語りかけてくるような気がした」と、当時の心境を語った。現場には半径5メートルにわたって、均質に混ざりきった完璧な納豆の飛沫が芸術的な模様として付着していた。

専門家によると、今回の現象は「流体力学と納豆の粘性係数が奇跡的に合致した稀有な例」とのことだが、今後このような実験は控えるよう警告が出されている。羽田野氏は現在、近所への迷惑を考慮し、納豆を一切混ぜずにそのまま食べる「無撹拌・納豆・スタイル」へ転向を表明した。

なお、今回の騒動で発生した「竜巻納豆」を実験後に食したところ、味については「想像以上に普通だった」とのことで、全てが徒労に終わったというオチがついている。