発明家の羽田野健一さん(42)は、毎朝のトーストを焼く時間が待ちきれず、『焼きたてのパンを、寝ている自分の口まで物理的に届ける』という壮大な計画を立案。完成したマシンは、パンを焼き上げた瞬間にバネの力で射出し、放物線を描いてベッドの上の主へと届けるという画期的なものだった。

しかし、最初のテスト運転で悲劇は起きた。マシンの動力源として強力な工業用ゴムバンドを過剰に装着してしまったため、焼き上がったトーストは、まるで大砲から放たれた砲弾のような速度でキッチンを飛び出したのである。

トーストは凄まじい風切り音を立ててリビングを横切り、羽田野さんが寝ている寝室の窓を突き破り、そのまま枕元を通過。勢いは止まることなく、近所の公園の防球ネットを貫通し、空高く舞い上がって雲の彼方へと消えていった。

目撃者によると、青空を背景に優雅に回転しながら飛んでいく食パンの姿は、まるで『空飛ぶフリスビー』のようであり、一部の近隣住民は『UFOの襲来かと思った』と証言している。

羽田野さんは、『パンの焼き加減は完璧だっただけに、命中精度と速度調整に課題が残った』と至って冷静に分析。現在はマシンの改良として、トーストに小型パラシュートを装着し、着弾時の衝撃を和らげる『精密落下投下型モデル』を製作中とのことだ。

なお、この騒動を受けて近所の住民からは、『朝から空を飛ぶパンを見せられると、なんだか自分が狂っているのかと不安になる』という苦情が相次いでおり、羽田野さんは現在、全住民の朝食にパンを配って回る謝罪行脚を続けている。