羽田野氏が開発したのは、トースターと高性能カタパルトを融合させた『モーニング・シューター2000』である。朝、トースターの焼き上がりが「チン」と鳴る瞬間、内部の強力なスプリングが作動。こんがり焼けた食パンを時速300キロで発射し、キッチンからダイニングテーブルまでの約10メートルを0.12秒で飛行させるという画期的なシステムだ。
この装置の最大の特徴は、あまりの速さにパンが焼きたての香りを置き去りにして移動する点にある。「焼きたての香りが部屋に充満する前に、パンが皿の上に到着します。つまり、香りを追い越す至高の体験ができるのです」と羽田野氏は誇らしげに語る。
しかし、実用化には多大な苦労があった。初期モデルでは発射の衝撃により、パンがキッチン壁面に時速300キロで衝突し、壁が食パンの形に凹むという『バターまみれのテトリス』状態が発生。その後、空気抵抗を考慮した流線型のパンの焼き方を研究し、どうにか着弾率を向上させることに成功した。
試食会に招かれた近所の住人は「あまりの速さにパンが飛んできたことに気づかず、皿の上で何かが煙を上げているのを見て最初は何かの爆発かと思った。しかし、食べてみると確かに温かかった」と、そのあまりのスピード感に困惑を隠せない様子だった。
安全性について羽田野氏は、「食卓に到達する直前、パンをわずかに減速させるために『ケチャップの壁』を設置することで物理的に停止させています」と自信を見せる。この減速システムにより、トーストは皿の上で優雅に停止するはずなのだが、実際にはケチャップが広範囲に飛散し、キッチンは毎日、大規模なトマト事故現場のような惨状を呈している。
今後の展望について問われると、羽田野氏はさらに壮大な計画を明かした。「次は二階の寝室までパンを射出し、目覚まし時計代わりに顔面に叩きつける『おはよう・インパルス』を開発中です。朝が苦手な人も、熱々のパンが顔面に張り付けば、嫌でも飛び起きるはずですよ」
なお、この装置を導入して以来、羽田野氏の自宅周辺では「空飛ぶ朝食」を狙うカラスたちが、時速300キロで飛来する食パンをキャッチしようと待ち伏せしており、鳥界隈でちょっとしたスポーツイベントになっているという。
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