「家のトーストは平熱すぎる」と語る食井さんは、これまでドライヤーの熱風からジェットエンジンの噴射口まで、あらゆる熱源でパンを試してきました。しかし、納得のいく黄金色の焼き色を得られなかった彼は、ついに大自然のエネルギーに目を向けました。

今回の挑戦の舞台となったのは、長らく噴火の記録がない山奥の休火山です。食井さんは特注の超ロング・トングを装備し、火口から立ち上る熱気だけを利用して食パンを炙るという、極めて繊細かつ無謀な調理スタイルを確立しました。

調理開始から3時間、火口付近の温度は摂氏80度まで上昇。パンの表面には、まるで芸術作品のような均一な焼き色がつき始めました。「これだ、これこそが地球の息吹を吸い込んだ最高のトーストだ」と、食井さんは防護服のフェイスシールド越しに歓喜の雄叫びを上げました。

しかし、あまりの香ばしさに引き寄せられたのか、近隣の森から野生のサルたちが集結。彼らはパンの匂いに我を忘れ、食井さんの頭上で激しいパン争奪戦を繰り広げ始めました。火口の熱気とサルの毛が舞い散る中、パンは空中で回転しながら見事な焦げを形成します。

ようやく完成したトーストを手に取った食井さんでしたが、火口からの強風でバターが空高く舞い上がり、そのままパンは地面に落下。さらに、先ほどまで争っていたサルたちが、なぜか整列してそのパンを奪い去るという信じられない光景が展開されました。

結局、食井さんは一口も食べられないまま下山することとなりましたが、本人はいたって満足気です。「あのサルたちは、火を通す前のパンには見向きもしなかった。つまり、私の焼き加減が世界一だったという証明です」と、彼は翌週の『雪山でのサンドイッチ作り』に向けた準備を開始しました。