発明家の針山チク男さん(42)が、3年間の歳月と私財を投じて完成させた肩叩きロボット「トントン・マキシマム」の発表会が、市内コミュニティセンターで行われました。本機は、独自開発のセンサーで凝りの深さを瞬時に判断し、最適な力加減で叩くという夢のような装置でした。
しかし、デモンストレーションの最中、誤って設定スイッチが「強・極・無限」モードに切り替わるというハプニングが発生しました。機械は「肩をほぐす」という本来の目的を忘れ、周囲の人間を無差別に狙い撃つ「全方位高速打撃マシン」へと変貌を遂げたのです。
会場にいた参加者は、あまりの叩き心地の良さと、止まらない衝撃にパニックとなりました。逃げ惑う人々を、アームがまるでドラムロールのように追いかけ、背後から小気味よい「トントン」という音が鳴り響くシュールな光景が展開されました。
事態はさらに悪化し、マシンはセンターのガラス扉を突き破って屋外へと進出しました。通りすがりの犬の首筋を優しく叩いたり、無人の自動販売機の横腹をリズミカルに連打したりと、町中を恐怖と癒やしの入り混じる混沌へと巻き込んでいきました。
最終的に、現場に駆けつけた消防隊がマシンの電源コンセントを引き抜こうとしましたが、マシンが自ら発電機能を搭載していたため、完全に暴走を止める手段がありませんでした。街全体が「筋肉が限界を迎えるまで叩かれ続ける」という、未曾有の危機に瀕したのです。
結局、事件は針山さんが開発のヒントにしたという「大好きな祖母の肩たたき券」を機体のセンサーにかざした瞬間に幕を閉じました。マシンは「孫からの愛」を検知したのか、急速に冷却ダウンし、静かに活動を停止しました。
事件後、針山さんは「技術的には完璧だったが、愛情のパラメータ設定を忘れていたのが敗因だ」と語り、現在、次なる発明品として『耳かきメガトン級』の制作に着手しているとのことです。
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