「耳があるからパンは完成するのではない。耳こそがパンの本体であり、中身はおまけである」と豪語するのは、パン職人の羽田野蔵之介さん(42)です。彼は過去15年間、食パンの耳の香ばしさと噛み応えだけを愛し続け、中身の白い部分を「空虚なマシュマロ」と呼び、軽蔑してきました。

そんな羽田野さんが遂に完成させたのは、全方位が耳という奇跡の立方体パンです。通常の食パンは焼く際に型に入れますが、彼は特注の「円形焼成炉」を開発。パン生地を常に回転させながら、全ての表面が加熱される極限状態を作り出すことで、内側までカチカチの、まさに「100%耳」という代物を焼き上げることに成功しました。

試食会に招かれた近隣住民は「一口噛むと歯が折れそうになる」と困惑しましたが、羽田野さんは「これがパンの魂だ。柔らかさに逃げるのは卑怯だ」と真剣な眼差しで反論。プロジェクトはさらに加速し、彼は次に「耳の密度をダイヤモンド並みに高める実験」に着手すると宣言しました。

しかし、このニュースを聞きつけた地元の主食愛好家団体からは「我々はサンドイッチを作りたいのに、これでは壁材しか作れない」と抗議の声が上がっています。また、耳がないと判断されたパンはそもそもパンなのかという哲学的な議論に発展し、パン学会は緊急会議を開く事態となりました。

結局、羽田野さんのパンは「凶器としても使える保存食」として一部で熱狂的な人気を博しました。今朝の取材では、羽田野さんは新たに「耳しか存在しない世界線」を構築するために、パン生地を無限に回転させる超高速遠心分離機を製作中だと語り、インタビューの最中にその機械が爆発して工場が耳の破片で埋め尽くされるという悲劇的なオチを迎えました。