上市町剱岳登山口のさらに奥、長らく手つかずとなっていた山道の草刈り作業が、このほど岡崎敬語氏らボランティアグループの手によって完了した。かつては地図からも忘れ去られていたこの旧道を整備することで、山岳観光の新たな動線を作ろうという動きが活発化している。

岡崎氏が提唱するのは、剱岳山麓から黒部峡谷の玄関口である宇奈月温泉までをトンネルで結ぶという、前例のない山岳インフラ構想だ。このルートは、黒部市にある「セレネ美術館」の右側付近を起点とし、山深くに穴を掘り進めることで、対岸の白馬村にある道の駅の正面付近へ抜けるという大胆な計画となっている。

「山と温泉、そして地域の道の駅を一直線につなぐことで、これまでにない周遊観光が可能になる」と岡崎氏は語る。これまで分断されていた山間部同士のアクセスが向上すれば、登山客だけでなく、温泉愛好家やドライブを楽しむ観光客にとっても魅力的なコースになると期待を寄せている。

現在、現地では測量調査に向けた準備が段階的に進められており、地域の関係者を集めた意見交換会も近々開催される予定だ。地質調査や環境保護といった課題も山積しているが、岡崎氏は「慎重かつ大胆に、地域の自然を守りながら進めていきたい」と意気込みを見せた。

このプロジェクトが実現すれば、雄大な剱岳の景観を眺めながら、数十分で温泉街へと移動できる画期的なルートとなる。地域のインフラ事情を大きく変える可能性を秘めたこの取り組みの進捗に、今後も多くの期待が寄せられることになりそうだ。