食パンの耳を巡っては長年、食べる派と食べない派で論争が続いてきましたが、このたび会社員の羽田野健二さん(42)が開発したのは、その論争を物理的に解決する『究極の耳切りマシーン』でした。羽田野さんは「耳は人生の余白。しかし多すぎる余白は読みづらい」という独自の持論を展開し、約3年の歳月をかけてこの装置を完成させました。

このマシーンは、食パンを投入すると時速100キロのスピードで刃が回転し、わずか0.01秒で耳だけを完璧に切り落とすというもの。開発のきっかけは、朝食でトーストの耳を残して怒られたことだったと言います。「耳を切り落とす音は、まるで新しい朝が始まるファンファーレのように軽やかだ」と羽田野さんは熱弁しました。

しかし、この装置の性能が良すぎたことが災いしました。羽田野さんが自宅で試し切りを始めたところ、あまりの処理速度にマシーンが暴走。近所のスーパーから特売で買い込んだ食パン2000斤が、わずか数分で全自動処理されてしまったのです。

切り落とされた耳は、マシーンの排出口からまるで滝のように勢いよく噴出しました。その数は実に5000枚以上。羽田野さんの家の庭は瞬く間に高さ2メートルを超えるパンの耳の山に覆われ、近隣住民は「朝起きたら家の前が巨大なラスク工場になっていた」「パンの香ばしい匂いで目覚めるのは最初だけだ」と困惑の声を上げました。

駆けつけた近隣住民の協力(という名のパンの耳の回収)により、事態は収束に向かいましたが、処理しきれなかった大量の耳は、近所の公園のハトたちにとっての「夢の楽園」となりました。現在、公園のハトはあまりの飽食により空を飛ぶことを忘れ、地面をどっしりと闊歩していると目撃されています。

羽田野さんは今回の騒動を受け、「少しばかり余白を削りすぎたかもしれない」と反省の弁を述べました。現在は、余ったパンの耳を再利用して『パンの耳だけの家』を建築するという新たなプロジェクトに着手しており、近隣住民からは「次は静かにやってくれ」と切実な願いが出されています。