会社員の羽田野健太氏(32)は、毎朝のトーストにバターを均一に塗るという行為を「人類に残された最後の非効率」と断定。休日をすべて費やし、産業用ロボットアームを改造した『バター・ド・ブレイカー』を完成させました。
開発のコンセプトは「パンを置けば、0.5秒で均一なバター層を構築する」というもの。精密なセンサーと超高速サーボモーターを搭載し、市販のバターを削り出す鋭利なカッターも特注しました。
本日行われた初の試運転では、近所の人々を招いての華々しいデモンストレーションが予定されていました。羽田野氏は自信満々に一枚の食パンを台座に置き、スイッチを入れました。しかし、ここで誤算が生じます。
マシンは「食パン」を「標的」と誤認識し、設定トルクを最大値まで引き上げました。次の瞬間、機械は凄まじい轟音とともにバターを射出。バターは食パンを一切かすめることなく、キッチンを越えてリビングの壁に時速120キロで激突しました。
「壁に芸術的なバターの紋章が刻まれた」と羽田野氏は興奮気味に語りますが、その横では奥様が静かに包丁を研いでいる姿が目撃されています。壁に張り付いたバターは、まるで前衛的な現代アートのように黄金の光を放っています。
専門家によると、今回の事故は「バターの粘度に対する物理演算の甘さ」が原因とのこと。しかし羽田野氏は懲りる様子もなく、次は「ジャムの噴射角度」を微調整する改良型マシンの開発に着手すると宣言しました。
なお、キッチンに残された唯一のトーストは、奇跡的にバターが一切付着しておらず、結果として「極限までドライな朝食」を食すことになった羽田野氏の表情には、一抹の悲哀と静かな狂気が混在していました。
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