羽田野さんが開発したのは、目覚まし時計と連動して、焼き上がった食パンを寝室のベッドまで時速80キロで射出するという夢のシステムだった。「朝一番に焼きたての匂いと弾丸のような速度でエネルギーを補給したかった」と語る羽田野さんの情熱は、装置の初起動時に思わぬ方向へと暴走した。

事件は今朝午前7時、目覚まし時計のアラームと共に起きた。装置の出力設定が『誤って業務用ピザ釜レベル』の最大出力になっていたことに気づかず、スイッチを入れた瞬間、黄金色に焼けた食パンが轟音と共に射出された。それはもはや朝食ではなく、鋼鉄を貫くような衝撃波を伴う物体Xと化していた。

射出された食パンは、羽田野さんの顔面を避けて壁に直撃。爆音と共に壁面に直径1メートルの風穴を開け、隣の部屋で眠っていた猫のタマ吉を驚愕させた。さらにその勢いは止まらず、反対側の窓ガラスを粉砕し、庭の植木鉢をなぎ倒して、最終的に近所の竹林まで飛んでいったという。

「壁にパンがめり込んでいるのを見たとき、自分の朝食が殺人兵器になったことを確信しました」と羽田野さんは遠い目をして語る。幸いにして怪我人はなかったものの、家主である羽田野さんは現在、食パンの破壊力に呆然としながら、家の壁に残ったトーストの焦げ跡を掃除する羽目になっている。

羽田野さんは今回の失敗について、「パンの焼き加減ではなく、射出速度の微調整に課題があった。次はクロワッサンで試したい」と、全く懲りていない様子で次なるプロジェクトへの意欲を見せている。なお、被害を受けた壁面には、現在『パン禁止区域』という貼り紙が掲示されている。