会社員の波多野健二郎さん(42)は、長年「カップ麺の麺は、湯を注ぐスピードが速ければ速いほど、表面がダイヤモンドのように硬質化し、芯に独特の『光速のコシ』が生まれる」という独自の理論を提唱し続けてきました。

実験当日、波多野さんは特注の超高圧ジェット噴射ノズルを自室の湯沸かし器に直結。準備運動として三日三晩スクワットを敢行し、全身をバネのように鍛え上げた状態で、沸騰したての湯をカップ内に叩き込みました。

噴射された湯はマッハ3の速度で容器内に突入。あまりの勢いにカップ容器は原形を留めず、プラスチックの破片とラーメンが融合した「前衛芸術のような何か」が爆風と共にキッチン中に飛散しました。

波多野さんは飛散した麺を拾い集めて食べた際、「これは……麺が量子力学的に重なり合っている! 味が過去と未来から同時に押し寄せてくるようだ!」と涙を流しながら絶叫。部屋中に飛び散った汁の模様が、奇跡的に「美味しんぼ」の作者のサインに酷似していたことも判明しました。

しかし、この実験には重大な欠点がありました。物理学の法則に従い、あまりの熱エネルギーと運動エネルギーの放出により、調理後のカップ麺は瞬時にプラズマ化し、消滅してしまったのです。

最終的に波多野さんは、何一つ食べることなく空腹のまま宇宙の真理に到達しました。「食べたのか食べていないのか、そんなことは些末な問題だ。私は今、お湯を注ぐという行為そのものを味わったのだから」と語り、現在はマッハ4で冷凍チャーハンを解凍する研究に着手しています。