羽田野さんが発明したのは、彼自身が『モーニング・ボム』と名付けた特製の投射機である。枕元に設置されたこの装置は、アラームが鳴る瞬間に合わせて、あらかじめ装填された焼きたてのトーストを、秒速15メートルという猛スピードで寝ている本人の口めがけて射出する仕組みだ。

「普通に起きるのではなく、強制的に咀嚼という生存本能を刺激することで覚醒を促すのです」と羽田野さんは熱く語る。確かに理論上は、口の中に急に温かい炭水化物が滑り込めば、どんな深い眠りも瞬時に吹き飛ぶはずである。

開発にあたっては、ジャムの粘度とトーストの焼き加減を緻密に計算したという。カリカリすぎると着弾時に粉々になり、柔らかすぎると銃口の中で折れ曲がるという難関を乗り越え、現在は『いちごジャム・高粘度仕上げ』が最も命中精度が高いと結論付けられている。

しかし、実際に試用したところ、初日は鼻にトーストが直撃し、二日目は誤って隣で寝ていた愛猫にダブルソフトが直撃するという痛ましい事故も発生した。それでも羽田野さんは諦めず、現在は弾道の微調整と、食パンの空中姿勢を安定させるための「ジャムによる空力制御」の研究に没頭している。

近所からは「朝から『シュボッ!』という発射音と『モグモグ』という咀嚼音が聞こえてきて、最初は近所の工事現場かと思った」との声も上がっており、装置の静音化も急務となっている。

羽田野さんは「次はコーヒーをストロー経由で射出する『ドリップ・ランチャー』を開発中」と意気込んでいるが、今のところ、毎朝の彼の顔には焼きたてのトーストが激突したことによるパン屑が大量に付着しており、果たしてこれが文明の利器と言えるのか、疑問を抱く者も少なくない。