発明したのは、元家電メーカーのエンジニアであり、現在は『トースト最適化研究所』を主宰する大倉茂樹氏(45)だ。彼が開発した『バター・スプレッド・マスター3000』は、食パンをセットしてからバターが完璧に塗られるまで、わずか0.5秒という驚異的な速度を誇る。
しかし、このマシンの真の目的は効率化ではない。大倉氏は「バターはパンの縁からはみ出していなければならない」という独自の美学を追求しており、マシンの最大の特徴は、塗る際にバターをわざと床や壁に15%ほど飛散させる機構にある。
実際に実演を行うと、装置は轟音を響かせ、猛烈な勢いでパンにバターを叩きつけた。パンは完璧にコーティングされたものの、同時に大倉氏の白いワイシャツと周囲の壁にも大量のバターが飛び散り、室内は瞬く間に洋菓子店のような甘い香りと脂っこい質感に包まれた。
「計算通りです」と大倉氏は語る。彼の理論によれば、壁に飛び散ったバターの量が多いほど、その日の朝食が贅沢であるという証明になるのだという。近所の住民からは「朝から何か重機が動く音がする」「窓から黄色い飛沫が飛んでくる」といった驚きの声が寄せられている。
さらに、この装置には『トースト飛び出し機能』も搭載されている。しかし、射出されたトーストはあまりの勢いに、キッチンを通り越して隣の部屋のカーテンに突き刺さるように設計されている。朝食を食べるために隣の部屋まで移動しなければならないという、本末転倒なシステムだ。
最後に大倉氏は、次なる開発目標として「ジャムを天井に綺麗に塗りたくる装置」の構想を明かした。もはやパンを食べるという目的はどこへやら、彼が求めているのは、いかにして朝から室内を汚し尽くすかという、人類未踏の芸術なのかもしれない。
なお、完成したトーストの味について聞くと、大倉氏は真顔で「バターが多すぎて、食感はほぼ『油の塊』です」と誇らしげに答えた。
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