羽田野氏が開発したのは、工業用の真空ポンプと改造したストローを組み合わせた「エッグ・サクション・マシーン」です。彼いわく、卵の殻に極小の穴を開け、気圧差を利用して中身を吸い出すことで、鶏の尊厳を守りつつ調理が可能になるとのこと。この画期的な(?)調理法により、彼のキッチンは連日、シュコシュコという異様な吸引音と、失敗して殻ごと吸い込まれる生卵の残骸で満たされています。

実際にこの技術で作られたオムライスを試食した友人の佐藤氏は、「味は普通ですが、食べるたびに羽田野の執念が透けて見えるようで、少しだけ酸っぱい味がしました」と困惑気味にコメントしています。調理工程における『卵を割る』という快感が完全に排除されたことで、羽田野氏は精神的な充足感を得ていますが、効率は極めて悪いようです。

昨日行われた公開実験では、20個の卵を吸い出すために約4時間を費やしました。しかし、吸い出し作業の終盤、ポンプの出力調整に失敗した羽田野氏は、卵の中に潜んでいたわずかな殻の破片を勢いよく吸い込んでしまい、喉に詰まらせるというアクシデントが発生。救急隊員が駆けつける騒ぎとなりました。

全治一週間の診断を受けた羽田野氏は、病室のベッドの上で酸素マスクを装着しながらも、「次回は殻を溶かす特殊な液体を開発する。卵との対話はまだ終わっていない」と力強く語りました。担当医からは「まずは普通に卵を割ることからリハビリしましょう」と、至極真っ当なアドバイスを受けたとのことです。