美術家の羽田野健一氏(42)は、過去15年間にわたって、自身の事務作業で出た消しゴムのカスを一度も捨てずに保管し続けました。その総重量は実に28キログラムに達し、本人いわく「まさに歴史の堆積物」として、リビングの一角を占拠し続けていたそうです。
制作を開始したのは昨年の春。羽田野氏は「ただ捨てるだけでは、私の人生の過ちまで捨てている気がした」と語り、カスの粘着性を最大限に活かすため、独自の特殊な接着剤と圧縮技術を開発しました。彼は毎日12時間を費やし、黙々とカスの大仏像を削り出していきました。
制作途中には予想外の困難もありました。カスの中に混入していた髪の毛や、誤って捨てた付箋の一部が、大仏の顔面に予期せぬ模様として浮かび上がってしまったのです。「当初は焦りましたが、今ではこれが『人生のノイズ』として良い味を出している」と羽田野氏は前向きに捉えています。
完成した大仏は、遠目には威厳ある黄金色の輝きを放っているように見えます。しかし、至近距離で見ると、細かいカスが層をなしており、よく見ると「会議資料修正」と書かれたメモの破片が眉間に埋め込まれているのが確認できます。
除幕式に訪れた近隣住民は、その圧倒的な存在感と、ほのかに漂う文房具の懐かしい香りに涙を流しました。羽田野氏は、この像が多くの人々の心に「消し去りたい記憶も、積み重ねれば尊い芸術になる」という教訓を残すことを願っています。
式典の最後、羽田野氏は大仏の完成を祝い、記念として新しい鉛筆で「達成感」という文字を書こうとしました。しかし、あまりに力を入れすぎたために鉛筆の芯が折れ、再び大量の消しゴムのカスが発生。それを見た羽田野氏は即座に「よし、次は『削りカスで出来た巨大な釈迦』を作る」と宣言し、会場は静まり返りました。
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