会社員の羽田野健二さん(34)が自宅に設置したのは、通称『モーニング・エアキャッチ・システム』です。この装置は、セットしたパンが一定時間でトーストされ、そのまま天井付近に設置されたカタパルトへと自動送迎、最後に羽田野さんの口元へ向けて正確に射出されるという、夢のような仕組みでした。

「トーストを焼く間に着替える、その数分すら惜しい。空からパンが舞い降りてくれば、朝のルーティンは完結するはずだ」と語る羽田野さんは、開発に半年以上の期間と、ボーナス全額を費やしました。特筆すべきは、食パンの飛行弾道を計算するために物理学の参考書を5冊読破したという情熱です。

しかし、運用初日の朝、悲劇は起きました。装置の調整ミスにより、トーストは羽田野さんの口元を大きく通り越し、リビングの壁に時速40キロの猛スピードで激突。砕け散ったパンの破片が、彼が丁寧にアイロンをかけたばかりのワイシャツを直撃しました。

「軌道修正が必要だ」と考えた羽田野さんは、翌日からヘルメットとゴーグルを着用して待機するスタイルに変更。しかし、今度はトーストが彼の顔面に強烈なスラムダンクを決め、鼻血とともに朝食が終わるという新たな問題が発生。それでも彼は「パンの温度が適温だったので、ある種のサンドイッチにはなった」とポジティブなコメントを残しています。

近隣住民からは「毎朝、ドーン!という轟音と共に、隣の家から『イテッ!今日の焼き加減は最高だ!』という叫び声が聞こえる」との苦情が寄せられており、羽田野さんは現在、装置の出力を下げるのではなく、自身の口をさらに大きく開くための筋トレに励んでいるとのことです。

開発は続行される見込みですが、肝心の朝食が食べる前からボロボロになるという矛盾を抱えたまま、この『モーニング・エアキャッチ・システム』は、現在、朝の忙しい時間を短縮するどころか、パンの残骸を掃除する時間という新たなタスクを羽田野さんの朝に提供し続けています。