佐々木氏が考案したのは、沸騰したお湯を一切使用せず、カップ麺に対して強い精神集中を行うことで、麺を湯戻し状態にするという独自の超能力調理法である。同氏は過去10年間、標高3000メートルの山頂でヤカンをただ見つめ続ける修行を積み、ついに『カップの蓋をわずかに開け、麺の硬さを強くイメージする』ことで、化学反応に近い熱伝導を引き起こすことに成功した。
実演会では、佐々木氏がカップ麺を前に正座し、鋭い眼光を放つと、カップからは湯気ならぬ『闘気』のような白い霧が立ち上ったという。会場にいた数名の観客は「確かに麺が少し柔らかくなっている気がする」「というか、空腹のあまり幻覚を見ているのではないか」と困惑の表情を浮かべた。
しかし、佐々木氏の執念は並大抵のものではない。彼は調理中、麺に対して「お前はもう柔らかい」と小声で自己暗示をかけ続け、スープの粉末が溶け出すタイミングを、自身の鼓動とシンクロさせるという高度な技術を披露した。結果として、3時間後には、本来なら3分でできるはずのカップ麺が、独特の『硬め』状態で完成したのである。
実験の模様を見守った物理学者の助手は、「熱力学の法則を完全に無視しており、ただの根性論に近い」と分析するが、佐々木氏は一向に気にする様子はない。むしろ「次は電子レンジを使わずに冷凍食品を解凍する術を模索している」と、さらなる高みを目指す意気込みを見せている。
試食を行った佐々木氏は、一口すするなり「魂が宿った味がする」と涙ぐんだが、即座に「やはりお湯を入れたほうが早くて美味しい」と正直な感想を漏らし、周囲をずっこけさせた。結局、この究極の調理法は『人生で最も無駄な努力を可視化した芸術作品』として、地元の公民館に静かに展示される予定である。
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