大山氏は、地元の納豆愛好会で長年、納豆をかき混ぜる際の「糸の張力」を研究し続けてきた。彼によれば、一定の速度とリズムでかき混ぜた納豆から出る糸は、空気中の分子を絡め取り、一種の反重力フィールドを形成するという。この理論を実証するため、彼は特注の超高速回転式納豆マシーンを開発し、自宅の庭で壮大な実験を繰り返している。
実験の様子を目撃した近隣住民によると、大山氏の庭からは毎朝、尋常ではない回転音と「ネバ、ネバ、ネバ!」という謎の掛け声が響き渡るという。先日の実験では、大量の納豆を詰め込んだ特別仕様のヘルメットを被った大山氏が、地面からわずか3センチだけ浮上することに成功した。本人曰く「これは人類が長年夢見た、豆による空の旅の第一歩だ」とのことだ。
しかし、この実験には深刻な問題も伴っている。強力な粘り気を生み出すために使用する納豆の量が膨大すぎて、実験終了後には庭の植木から飼い猫に至るまで、全てが強固な納豆の糸でコーティングされてしまうのだ。特に近所の子供たちからは「大山さんの家の前を通ると、靴の裏がベタベタして進めなくなる」との苦情が寄せられている。
今後の展望について大山氏は、「まずは納豆の糸を束ねてパラシュートを作り、高所から落下する際の衝撃をネバネバで吸収する安全装置の開発を目指す」と意気込んでいる。さらに、大豆の銘柄を変えることで、浮揚力だけでなく推進力をコントロールすることも可能だと主張しており、夢は広がるばかりだ。
専門家からは「物理法則を完全に無視した発想である」と冷ややかな声も上がっているが、大山氏は意に介さない。彼は今、さらなる高みを目指し、実験の回転速度を上げるため、納豆マシーンにジェットエンジンの出力を転用しようと画策しているという。もはや納豆ご飯の域を超え、人類の移動手段を変えようとする男の戦いは、今日もベタベタの庭で続いている。
コメント
まだコメントはありません。