「焼きたてのパンは、皿の上でただ冷めるのを待つべきではない」。そう語る田所氏が開発したのは、全長3メートルのレールを備えた巨大なトースターです。この装置は、焼き上がったパンを圧縮空気の力で最大時速80kmにて天井付近へ向けて発射します。
パンは放物線を描きながらキッチンを横断し、部屋の反対側に設置された受け皿へと着地する仕組みです。田所氏はこれを「朝食の空中輸送プロジェクト」と名付け、毎朝リビングでパンの飛行実験を繰り返しています。
実験開始当初は、パンが壁に激突して粉々になる事故が相次ぎました。しかし、田所氏は「壁に当たるのはパンの飛距離が足りないからだ」と独自の結論を導き出し、より強力なコンプレッサーを導入してパンを加速させました。
近隣住民からは「早朝から爆音と共に食パンが窓の外を横切るのを見た」との目撃情報が相次ぎ、一時は緊急車両が出動する騒ぎとなりました。しかし、当の本人は「今のところ、成功率はバターを塗る余裕を含めて約4%です」と、驚異的な前向きさを崩しません。
田所氏は現在、パンが空中で回転しながらジャムを自動で塗布する『空中塗布アーム』の開発にも着手しています。彼が目指すのは、リビングの入り口に立っただけで、完璧な状態で焼き上がったトーストが口元まで飛んでくる未来です。
しかし、この野望は意外な形で終わりを迎えました。昨日の実験中、最高速度で射出された食パンが、キッチンに飾ってあった田所氏お気に入りのアンティーク花瓶を粉砕。さらにはその反動でパンが裏返しになり、氏の愛猫の頭の上に完璧に着地してしまったのです。
田所氏は「猫の頭はジャムが塗られていないため、朝食としての完成度はゼロ」と冷静にコメント。現在、装置は解体され、代わりに猫専用の高級フード皿へと改造されることが決定したそうです。
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