羽田野氏は「学生時代から試験のたびに溜まる消しゴムのカスを捨てるのが忍びなかった」と語る。最初は小さな塊を作っていただけだったが、次第にその独特の弾力と、何とも言えない灰色がかった独特の質感に魅了され、ついに自分の体型を忠実に再現する決意をしたという。

制作過程は壮絶を極めた。知人や近所の文具店から提供された消しゴムのカスを、専用の特殊な糊で固め続け、まるで粘土細工のように積み上げていった。特に「髪の毛」の部分には、製図用の硬い消しゴムのカスを厳選して使用するという執念を見せ、本人も「自分のアイデンティティがカスに凝縮されている」と胸を張っていた。

完成した像は、羽田野氏のポーズを完璧に再現した力作で、週末には近所の公園でその勇姿を披露する予定だった。しかし、運命の悪戯か、当日会場に設置された瞬間に公園を強風が襲った。

目撃者によると、「強風が吹いた瞬間、まるで銀色の粉雪が舞うように、その男は空中に散っていった」という。2メートルあったはずの『自分』は、わずか3秒でただの『大量のゴミ』に戻り、公園の広場を消しゴムのカスの海へと変貌させた。

羽田野氏は崩れ去る『自分』を追いかけて必死に手を伸ばしたが、あまりのスピードに何も掴むことはできなかった。周囲には、粉々になった自分の腕や足が、無慈悲にも風に乗って子供たちの遊び場へと拡散していく光景が広がっていた。

現在、公園の管理当局は「清掃活動」として回収作業に追われているが、あまりに広範囲に散らばった消しゴムのカスは、一部が芝生と一体化しており、完全な撤去には数週間を要する見込みである。

今回の悲劇について羽田野氏は「風に吹かれて消えるのも、また自分らしい結末だったのかもしれない」と気丈にコメントした。しかし、自宅の机の上には、すでに新しい消しゴムのカスをこね始めた本人の姿があり、次なる『自分』の制作に向けて着々と準備が進められているようだ。