都内のアパートで一人暮らしをする自称・パン工学研究家の本田健太朗さん(34)が開発したのは、焼きたての食パンをアームで掴み、正確に八つ折りにするマシーン『フォールド・ブレッド・マスター』です。本田さんは開発の動機について「食パンは面積を取りすぎる。この機動性のなさが忙しい現代人の朝を阻害している」と語ります。

実際に試運転を見せてもらうと、トースターから取り出されたばかりの熱々の食パンが、アームによって無慈悲かつ精密にパタン、パタンと折り畳まれていきます。最終的に手のひらサイズになったそれは、まるで折り紙の鶴のような形状をしていました。本田さんは誇らしげに「これで口に運ぶまでの移動距離が劇的に短縮され、かつ咀嚼回数も減る。時短の極みです」と主張します。

しかし、肝心の味については本人も苦笑い。八つ折りにされた食パンは、内側の湿気が逃げ場を失い、中心部が強烈な蒸しパン状態になっているのです。「正直、食感は湿ったタオルを食べているようで、一口で限界が来ます」と本田さんは認めつつも、「しかし、この『折り畳みによる圧縮された旨味』という概念は、料理界の革命です」と譲りません。

近所からは「朝から機械がガシャガシャとパンを折りたたむ音がして気味が悪い」「焼き立ての良い匂いがするのに、なぜか時折、糊のような湿った匂いが漂ってくる」という苦情も寄せられています。それでも本田さんは「この折り畳み技術を応用すれば、クロワッサンを100層に折り直して厚さ50センチにすることも可能」とさらなる野望を燃やしています。

そんな本田さんが次に目指しているのは、冷凍ピザを三角折りにし、ポケットに入れて持ち歩けるようにする『ポータブル・イタリアン』の開発だそうです。朝食の未来を切り開くのか、それとも単にパンを不味くしているだけなのか、その答えはまだ誰も知りませんが、本田さんのキッチンからは今日も、悲しげに折り畳まれるパンの音が響き渡っています。