会社員の羽田野健太さんは、朝の忙しい時間の中で、いかに効率的かつ均一にパンへバターを塗るかに人生のすべてを捧げてきた人物です。彼は3年の歳月をかけて、スキャンしたパンの形状に合わせてバターを噴霧する独自のマシン『バタフライ・エクスプレス』を製作しました。

しかし、試験運転の当日、事件は起きました。羽田野さんが自信満々に電源を入れると、マシンは「均一な塗布」というプログラムを誤解し、なぜかパンの表面に厚さ5センチのバターの層を積み上げるという暴挙に出たのです。

マシンは止まることなく高速回転を続け、周囲の空気を巻き込んでバターを霧状に放出。キッチンは一瞬にして極寒の北極圏のような光景となり、羽田野さんの顔面もまた、完璧な黄金色の油脂でコーティングされることとなりました。

さらに事態を悪化させたのは、マシンの最終工程として組み込まれていた「ジャムによる仕上げ装飾機能」でした。マシンは勢いよくパンの周囲にイチゴジャムを放射し、床に落ちたバターの塊と融合させることで、前衛芸術のような粘土細工を完成させてしまいました。

「私の朝食が、まるで抽象画のギャラリーになってしまった」と語る羽田野さんの背後には、壁一面に美しく描かれたバターの飛沫が輝いています。彼は現在、この作品に『冬の朝の狂気』というタイトルを付け、近所の公園で一般公開するかどうか検討しているとのことです。

なお、本件について羽田野さんは「次こそは、焼き加減を完璧にするトースターと合体させる」と懲りていない様子で、近隣住民からは「静かな朝を返してほしい」という切実な声が上がっています。