「白い部分は甘えです」。そう語るのは、自宅のキッチンを食パンの耳だけで埋め尽くした焼山こんがりさん(42歳)。焼山さんの朝食は、ここ5年間、常に『耳』のみ。それもただ食べるのではなく、オーブンで黄金色に焼き上げ、パズルのように組み上げていくという独創的なスタイルだ。

今回の挑戦は、市販の食パン1万2000枚から切り出した『耳』を、接着剤を使わず、特製の蜂蜜糊だけで積み上げるという過酷なものだった。建築期間は実に3ヶ月。焼山さんは作業中、常にパンの香りに包まれていたが、そのあまりの香ばしさに後半は食欲を通り越し、むしろ『耳の精霊』と会話ができるようになったという。

完成したタワーは、朝日を浴びると本物の金閣寺のように輝きを放ち、近所の子供たちからは『カサカサの神殿』と崇められている。タワーの前でインタビューに応じた焼山さんは、少しやつれた表情で『白い部分の使い道に困って、いま家の中が白いパンの山で埋もれていて息が詰まる』と意外な弊害を明かした。

専門家によると、これほどの量の食パンの耳を構造的に安定させるのは物理学的に奇跡に近いという。焼山さんは『耳と耳の間の湿度の管理が一番の難関だった。雨の日は構造がふにゃふにゃになるので、除湿機を5台フル稼働させた』と、その苦労を語った。

しかし、この壮大な努力も、完成直後の出来事で一瞬にして終わりを迎えた。窓を開けた瞬間、タワーの香ばしさに誘われた近所の野良猫が猛スピードで突撃し、3メートルの耳タワーがものの数秒で『ただの散らかった朝食』へと変貌したのだ。

焼山さんは現在、猫と一緒に残骸の耳をかじりながら、『次は耳の強度を上げるために、耳を揚げてから積み上げる計画を立てている』と、全く懲りる様子のないコメントを残し、新たなパンの袋を開封している。