都内在住の羽田野健二さん(42)は、先月、世界最大級のカレー用スプーンを約300万円の私財を投じて特注した。ステンレス鋼を削り出し、総重量45キロに達するそのスプーンは、持ち上げるだけで鋼の肉体が必要となる代物だ。羽田野さんはこの巨大スプーンを完成させた際、「これで人生が変わるはずだ」と周囲に熱く語っていたという。

しかし、実際にカレーライスをすくってみると、予想外の事態が発生した。スプーンが大きすぎて家庭用の皿には収まらず、特注の巨大タライに入れたカレーをすくう必要があるのだが、その一すくいで鍋のカレーがごっそり減ってしまうため、一口の量が約1.2キロに達してしまうのだ。飲み込むまでに要する時間は平均して40分。これを繰り返す生活を試算したところ、羽田野さんの計算では完食まであと12年かかるという衝撃の結果が出た。

「一口で満腹になれる夢のスプーンだと思っていたんです。でも、一口食べるたびに顎が外れそうになり、再装着に30分かかることを考慮していませんでした」と羽田野さんは語る。彼は現在、顎の筋力を鍛えるための特殊トレーニングと、スプーンを支えるための天井クレーンの設置を検討しているという。

近隣住民からは「最近、家の庭からガチャガチャと金属音が響き、たまに『お母さん、噛めない!』という叫び声が聞こえて心配している」といった声が上がっている。自治体も騒音と巨大なスプーンの保管場所について対応に追われており、羽田野さんの食卓は現在、一種の工事現場のような様相を呈している。

羽田野さんは諦めていない。今後はスプーンの柄の部分にモーターを取り付け、自動で口元までカレーを運ぶ全自動搬送システムの開発に着手する予定だ。彼は「この12年間のプロジェクトが完了した時、私は世界で最も顎が発達した人間として歴史に名を刻むはずだ」と、カレーまみれの顔で力強く意気込みを語った。