会社員の速水健二郎さん(34)は、かねてより「トーストが焼けるまでの3分間が人類最大の無駄である」と主張し続けてきた。彼はこの損失を埋めるため、既存のトースターを大幅に改造。内部に強力なバネ仕掛けを搭載し、焼き上がったパンをそのまま皿へ、あるいは食卓へ直接射出するという画期的な機能を実装した。

今朝、速水さんは意気揚々とその「射出トースター」のテスト運用を開始した。彼は食卓の向こう側に皿を置き、タイマーを最短の2分に設定。焼き上がりの合図と共に、こんがり焼けた食パンは見事な放物線を描いて勢いよく飛び出した。しかし、速水さんの計算ミスにより、パンは皿を大きく飛び越え、開いていた窓から外へと飛び出していった。

射出されたトーストは、運悪く近所を散歩していた犬の目の前をかすめ、通行人の帽子を直撃するという前代未聞の事態を引き起こした。目撃者によると、「空から焼きたてのパンが降ってきたので、てっきりベーカリーのドローン配送だと思った」とのことである。速水さんは騒ぎを聞きつけ、慌ててトングを持って外へ飛び出した。

騒動を知った速水さんは「射出の角度調整が不十分だった」と反省しつつも、「パンが外の世界を旅したことで、食卓のマンネリ化を防ぐエンターテインメント性も兼ね備えた」と、あくまで独自の開発意図を強調。近隣住民からは「次はジャムを塗りながら射出してくれ」という皮肉交じりのリクエストが寄せられている。

現在、速水さんのキッチンには、さらなる効率化を目指して改造されたコーヒーメーカーが鎮座しており、次は「コーヒーを蒸気圧で直接口に噴射するシステム」を開発中だという。朝の平和な時間が終わる日は、まだ遠そうだ。