この発明品は、枕元に設置したセンサーが住人の深い睡眠を検知すると、天井から強力なアームが降下し、掛布団の端を鷲掴みにして時速60キロのスピードで壁の向こうへ放り投げるという仕組みだ。羽田野氏は「音や光では二度寝の誘惑に勝てない。ならば物理的に睡眠空間を奪うしかないと考えた」と開発の動機を語る。
実験段階では、布団を剥ぎ取られた勢いでベッドから転落し、そのままリビングの床を1メートル滑走するという事態が頻発した。これについて羽田野氏は「強制的に身体を移動させることで、脳に『起床せよ』という強い警告信号を送る、いわば身体的リセット機能です」と、怪我の功名とも取れる理論で正当性を主張している。
また、オプション機能として、布団が剥ぎ取られた瞬間に冷風を噴射し、さらに部屋の照明をディスコのようなストロボライトに切り替える「極寒ダンスフロア・モード」も搭載。朝の5分間は地獄のようなパニック状態を作り出し、二度寝の余地を物理的に消滅させることに成功したという。
しかし、この装置の唯一の弱点は、布団を一度壁の向こうへ放り投げてしまうため、夜に再び眠る際、壁の向こうへ回収しに行くという重労働が発生することだ。羽田野氏は現在、壁の向こうから布団を自動で戻す「ブーメラン式再配置アーム」の研究に全精力を注いでいるという。
近所の住民からは「朝から空を飛ぶ布団が見えるのはもう慣れたが、時々、掛け布団と一緒にパジャマまで壁の向こうへ持っていかれるのが少し恥ずかしい」との苦情とも取れない声が寄せられている。これに対し羽田野氏は「パジャマを壁に飛ばした時は、脱衣所まで滑り込むように設計を調整中」と、さらなる高みを目指す姿勢を崩さない。
最終的な目標について、羽田野氏は「いずれは家全体を傾けて、住人を玄関まで滑り出させる『モーニング・スライディング・ホーム』を完成させたい」と語り、今日もまた壁の向こうへ飛び去る布団の行方を見つめている。
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