発明家の山下茂吉さん(47)が3年をかけて完成させた『ファスト・ブレックファスト・キャノン』は、食パンをこんがりと焼き上げるだけでなく、強力なエアバネで皿まで届ける画期的なマシンです。これまでのトースターが持つ「焼き上がるまで待つ」「自分で取り出す」という退屈なプロセスを破壊するため、山下さんはあえて射出機能を強化し続けました。

しかし、今朝行われた最終実験では、山下さんの調整ミスにより、設定出力が最大まで引き上げられていました。スイッチを入れた瞬間、黄金色に焼かれた食パンは「パァン!」という鋭い炸裂音とともに、時速100キロ以上の速度でキッチンから飛び出しました。

パンはキッチンの窓を突き破り、そのまま裏庭で洗濯物を干していた隣人のシーツを見事に貫通。弾丸のような形状のまま近所の電柱にめり込み、まるで現代アートのようなオブジェへと変貌を遂げました。現場に駆けつけた山下さんは、「焼き加減は完璧だったが、初速の計算が少し甘かった」と、焦げたパンのかけらを頬に張り付けたまま冷静に語りました。

近隣住民からは「朝から突然、焼きたての食パンが自分の横を銃弾のように通り過ぎていくのは心臓に悪い」といった苦情と、「でも、ちょっとだけ香ばしくて美味そうだった」という複雑な感想が寄せられています。

現在、山下さんはこの『超高速朝食』の安全性を高めるため、パンの表面に航空力学を取り入れた溝を彫る改良に着手しているとのことです。次に目指すのは「キッチンからリビングまで、減速なしでバターを塗る」という更なる高みですが、近所の人々は窓に頑丈な鉄格子を設置し、対策を急いでいます。