大川氏が開発した『銀河回転式・大豆攪拌機』は、一般的な箸の限界を超える毎分300万回転を誇る。大川氏は「納豆の糸は、混ぜるたびに銀河の星々のように繋がり、やがて宇宙を形成する」と語り、開発の動機を壮大な哲学として説明した。
実験当日、大川氏がスイッチを入れると、納豆パック内の大豆は瞬時に未知のプラズマ状態へ変化。調理器具からは「ゴーッ」というジェットエンジンのような轟音と共に、見たこともない虹色の光が放たれた。それはまさに、キッチンに出現した超新星爆発であった。
事態はさらに悪化した。凄まじい遠心力は納豆のみならず、周囲の壁紙や天井、さらには近所の野良猫までもを「銀河の塵」として巻き込み、部屋全体が納豆の粘り気で覆い尽くされる銀河系へと変貌したのである。近隣住民からは「急に部屋が醤油臭い宇宙空間になった」との通報が相次いだ。
駆けつけた専門家も、部屋の入り口で糸を引く空間の粘着性に足を取られ、「これはもはや料理ではなく、時空のねじれ現象だ」と絶句した。大川氏本人は、宇宙空間となった部屋の中で、無重力状態に漂う納豆を優雅に箸でつかもうと試み、必死に空泳ぎをしていたという。
最終的に、納豆のネバネバが次元の壁を塞いだことで事態は沈静化したが、部屋の中にいた大川氏は、あまりの回転の衝撃で記憶を一部失い、自分が『大豆の妖精』であると思い込んでいる。彼は現在、スプーンを片手に「混ぜることは、愛することだ」と呟きながら、近所の空き地でひたすら空気の攪拌を続けている。
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