会社員の羽田野健一さん(42)は、先月より自宅のキッチンを実験場と化し、「納豆の糸はどこまで伸びるのか」という人類の長年の疑問(?)に終止符を打つべく、極秘プロジェクトを開始した。彼は独自の配合で極限まで粘り気を強化した「特製・超粘着納豆」を開発し、それを特殊なクレーンで吊り上げて上昇させるという壮大な計画を立てていた。

実験当日、羽田野さんは厳重な安全管理のもと、ヘルメットを着用して臨んだ。地元の有志たちが見守る中、クレーンがゆっくりと納豆パックを引き上げると、そこには見事な銀色の糸のカーテンが形成された。観客からは「まるで天女の羽衣のようだ」と感嘆の声が上がったが、それは悲劇の序章に過ぎなかった。

糸は予想をはるかに超える粘着力を発揮し、高度3メートルに達したところで突如として意思を持ったかのようにうねり始めた。強い風が吹くと、糸は周囲の家具や壁、そして近所の猫にまで瞬く間に絡みつき、リビングルームは一瞬にして「納豆のクモの巣」と化した。

事態を収拾しようと慌てて駆け寄った羽田野さん自身も、強固な糸の罠に足を取られ、まるで繭(まゆ)に包まれる昆虫のように壁に張り付けられてしまった。クレーンは暴走を続け、納豆のパックは天井を突き破り、二階の寝室まで到達してしまったという。

駆けつけた消防隊員たちは、リビングの惨状を見て絶句。羽田野さんは壁に固定された状態で、最後に一言「これだけ粘り強くやっても、最後は結局自分で食べるのが一番旨いってことに気づいたよ」と語り、救出された直後に大好物の白米をかきこんで満足げな表情を浮かべた。