発明したのは、自宅での夜食タイムに家族から「掃除機が動いているのかと思った」と酷評されたことをきっかけに開発を始めた、自称・麺類音響工学者の羽田野猛さん(42)だ。彼は、麺をすする際の空気が口腔内とシェルター内で共鳴する現象に目をつけ、特殊吸音材をふんだんに使った一人用ボックスを製作した。

「とにかく、麺をすする時の『ズズズッ』という音が、まるで轟音のように周囲に響く。これを解決しなければ、日本の食卓に平和は訪れない」と羽田野さんは語る。完成したシェルター『ソウル・サイレンサー』は、外部からは完全に無音に見えるが、内部では宇宙船の操縦席のような緊張感漂う静寂が保たれている。

最大の特徴は、シェルター内部に設置された超小型高感度マイクと、それを打ち消す逆位相のノイズキャンセリング機能だ。これにより、どれほど激しく麺を吸い込んでも、周囲には木枯らしのような微かな風の音しか聞こえないという。まさに、背徳の夜食を罪悪感なく楽しむための最終兵器と言える。

しかし、実際に使用したモニターからは「静かすぎて麺の存在感がなくなり、ただゴム紐を食べているような錯覚に陥る」「音がないことで、かえって自分が何をしているのか客観視してしまい、猛烈な虚無感に襲われる」といった困惑の声が相次いだ。視覚を遮断して音だけを消すと、味覚までもが迷子になるという副作用が明らかになったのである。

羽田野さんはこの事態を受け、「次は音を消すのではなく、あえて『高級レストランでステーキを切るような音』に変換する機能を追加したい」と鼻息荒く宣言。現在は、さらなる改良に向けて資金調達中だという。

最後に、本人による実演が行われたが、防音シェルターの中から聞こえてきたのは、麺をすする音ではなく、羽田野さんが「うまい、うますぎる」と独り言を呟く明瞭な音声だけだった。防音性能が完璧すぎたため、中の会話が逆に外へ筒抜けになるという、なんとも皮肉な結末を迎えている。