この「バタリング・ゴリアテ」は、羽田野さんが3年もの歳月を費やして設計した全高3メートルの巨大二足歩行ロボットです。その目的はただ一つ、食パンの隅々までミリ単位の精度でバターを均一に塗ること。一般的なロボットアームでは到達できない高度な力加減を実現するため、あえて家庭用冷蔵庫よりも巨大なサイズになったと羽田野さんは熱弁します。
実際の動作は極めて厳粛かつ壮大です。スイッチを押すと、ロボットは重低音の駆動音を響かせながらパンに接近。精密センサーがパンの表面積を0.01秒でスキャンし、バターの温度を最適な22.5度に調整します。そして、プロペラ機のような風切り音と共に、巨大なシリコン製ヘラが振り下ろされるのです。
「最初はバターナイフを細かく振動させる仕組みを考えていたのですが、それだとパンが砕けてしまうので、結局パンそのものを固定してバターを高速で叩きつける方式に落ち着きました」と羽田野さんは語ります。実際、その塗布作業はあまりの勢いに周囲の空気が振動し、近所の家では地震かと勘違いされることもあるそうです。
しかし、このマシーンには致命的な欠点がありました。バターを塗るエネルギー消費量が凄まじく、一度の朝食のために必要な電力が一般的な家庭の半月分に相当することです。また、バターを塗った後のパンが衝撃で部屋の反対側まで吹き飛んでしまうため、常に壁にクッションを設置しておく必要があります。
今朝も羽田野さんが自信満々に朝食を作ったところ、あまりの勢いにパンが壁を突き破り、そのまま外へ飛び出して通行人の頭に直撃しました。それでも羽田野さんは「均一性という点では完璧だった」と満足げです。明日はさらなる改良として、パンを受け止めるための全長10メートルのネットを庭に設置する予定とのことです。
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