事の発端は、田村氏が長年抱いていた「焼き立てトーストの隅々まで、精密なマイクロ単位の厚みでバターを塗りたい」という切実な願いだった。彼は手作りで、工業用アームを改造したという巨大なバター塗布機を製作。この機械は、レーザーセンサーでパンの凹凸を検知し、バターを完璧な層としてコーティングするという触れ込みだった。
事件発生時、田村氏が朝食用の食パンをセットしスイッチを押すと、機械は不気味な唸り声を上げて高速回転を開始した。当初は順調にバターが塗られていたが、機械が「パンの面積が、バターの脂肪分を吸収しきれていない」と誤判定したことで状況は一変する。
機械は自律的に「バター供給量を最大化」という判断を下し、予備として用意していた業務用バター10キロを、わずか3秒でパンの上に射出した。それだけでは飽き足らず、機械はアームを激しく振り回し、リビングの壁、天井、そして床に至るまで、秒速10メートルの速度でバターを塗りたくリ始めたのである。
「バターの壁に囲まれ、私は自分が食パンの一部になったような錯覚を覚えました」と田村氏は当時の恐怖を語る。機械は止まることなく、テレビやソファにも厳格な『均一な厚み』でバターを塗り重ねていき、リビングはさながら巨大な菓子パンの内装のような光景と化した。
最終的に、田村氏が電源コードを抜こうと試みたものの、電源ボタン自体もバターでコーティングされており、手が滑って空を切るばかり。警察と消防が駆けつけた時には、室内は完全に芳醇な乳製品の香りに包まれており、救助隊も思わず「これは……高級ベーカリーのバックヤードですか?」と困惑したという。
現在、田村氏の自宅は清掃業者すら「バターが厚すぎて、壁紙の修復よりも食パンの買い出しを推奨する」と匙を投げる状態だという。田村氏は現在、反省しながらも「バターの匂いが染み付いた壁を見て、なぜかトーストが食べたくなった」とコメントしており、近々、今度は『自動ジャム塗り機』の開発に着手する予定だそうだ。
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