GDP(Gross Domestic Product)とは、国内で一定期間内に生産された物やサービスの付加価値の合計額を表す数値です。日本語では国内総生産と呼ばれます。単位は円です。
国内の経済活動が活発であり、様々な製品やサービスが作られているとGDPは高くなります。現在のGDPと過去のGDPを比較することで、経済的な成長率を数値(経済成長率)として表すことができます。
このGDPですが、名目GDPと実質GDPの二種類が存在します。
内閣府のページを見ると、2018年7〜9月の名目GDPは546.7兆円、同期の実質GDPは532.6兆円となっています。
この2つにはどのような違いがあるのでしょうか。内閣府のページによると、以下のように説明されています。
名目値とは、実際に市場で取り引きされている価格に基づいて推計された値。実質値とは、ある年(参照年)からの物価の上昇・下落分を取り除いた値。
名目値と実質値の違いは? – 内閣府
名目値では、インフレ・デフレによる物価変動の影響を受けるため、経済成長率を見るときは、これらの要因を取り除いた実質値で見ることが多い。
それぞれのGDPの定義について以下に記載します。
名目GDP
名目GDPは、世の中の物やサービスの実際の物価で評価するGDPです。
したがって、市場における商品の価格が変動すれば、それに応じて名目GDPも変化します。例えば、インフレによって物価が上昇すると、名目GDPも上昇します。
経済成長率は今期と前期のGDPの変化で算出されますが、価格変動の影響を受ける名目GDPでは、正しい成長率を表すことができないという問題があります。
実質GDP
名目GDPから価格変動の影響を取り除いたGDPが実質GDPと呼ばれます。実質GDPの比較によって実質的な経済成長率を求めることができます。
たとえば、昨年のGDPが100万円で今年のGDPが110万円だったとしたら、単純計算で10パーセント成長したことになる。これを名目GDP成長率という。
しかし、その1年の間に物価が動いているため、去年と今年を単純比較はできない。
今年の110万円の価値は、去年の時点での110万円の価値と同じではないのだから、去年の100万円を基準として「10パーセント成長した」という名目GDPは、実態を表していないのだ。
だから、物価変動分が仮に5%だとすれば、その調節を加えた実質GDP成長率は5%となり、つまり今年の実質GDPは105万円となるわけである。
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名目GDPから実質GDPを算出するには、後述するデフレーターと呼ばれる指数を用います。
デフレーター
GDPデフレーターとは、実質GDPを算出する際に用いられる指数です。名目GDPの実質GDPに対する比と言えます。
実質化とは、時価で表示した価額(名目値)の動きから価格変動の影響を取り除くことであり、実質化された価額を実質値という。また、価格水準を表す指数をデフレーターという。
国民経済計算においては、基準時点の価格で比較時点の数量を評価した価額をもって実質値とし、「名目値=実質値×デフレーター」という関係を満たすように実質値及びデフレーターを作成する。
内閣府 第8章 デフレーターと実質化