私達が「お金」と呼んでいる紙(お札、紙幣)は、正式には銀行券と呼ばれます。
この銀行券はどこで作られ、どの様に世の中に出回って行くのでしょうか。
銀行券の発行
法律(日本銀行法)においては、「銀行券の発行」は日本銀行(以下、日銀)のみが行えるとされています。
しかし、実際に物としての銀行券(お札)を印刷しているのは独立行政法人である国立印刷局です。
「銀行券の発行」とは、国立印刷局が作ったお札を日銀が買い取り、それを民間金融機関(一般の銀行)が日銀に作っている取引口座(日銀当座預金)から引き落とすことで世の中に出回るという一連の流れを指しています。
日本銀行法では、日本銀行は、銀行券を発行すると定めています。銀行券は、独立行政法人国立印刷局によって製造され、日本銀行が製造費用を支払って引き取ります。そして、日本銀行の取引先金融機関が日本銀行に保有している当座預金を引き出し、銀行券を受け取ることによって、世の中に送り出されます。この時点で、銀行券が発行されたことになります。
銀行券・貨幣の発行・管理の概要 : 日本銀行 Bank of Japan
銀行券(お札)は、個人や企業への支払いに必要な分を用意するため、金融機関が日本銀行当座預金から引き出して、日本銀行の窓口から受け取ることによって世の中に送り出されます。これを「銀行券の発行」といいます。
お札はどのようにして日本銀行から世の中に送り出されるのですか? : 日本銀行 Bank of Japan
国立印刷局が銀行券を刷っただけでは、まだお札(紙幣)として世の中に出回っていませんので、発行は完了していないということになります。
日銀は買い取ったお札を本店および支店の金庫に保管します。それが他の銀行からの引き出し要求を受けて支払われることで、銀行券が発行されたと言えます。
つまり、私達が手にしているお札は、民間の銀行から預金を引き出した人々や企業から巡ってきたものです。
役目を終えた銀行券
個人や一般の企業が持っている銀行券は、主に納税によって日銀へ戻ります。
銀行など金融機関では、利用者への支払いに当面必要としない銀行券を日銀の当座預金に預け入れることで、それが日銀へ戻って行きます(銀行券の還収)。
この世の中で使われて日銀に戻ってきた銀行券は、偽物や再利用不可能なものがないかチェック(鑑査)を受けます。
その中で、汚れや破損などによって再利用できないものは、日銀の本店または支店において裁断され、一部は別の製品にリサイクルされます。
ちなみに、日銀の窓口では損傷した銀行券を交換してもらえます。
もうひとつのお金「貨幣」

100円玉などの貨幣は、銀行券とは別に作られています。
貨幣は日銀ではなく政府が発行しています。実際に物としての貨幣は独立行政法人である造幣局が製造して日銀へ交付します。この時点で貨幣が発行されたことになります。
貨幣が世の中に送り出される仕組みは銀行券と同じで、民間金融機関が日銀の口座から引き落とすことで流通します。