褐色脂肪細胞に似たベージュ脂肪細胞の肥満抑制作用

腹回りの皮下脂肪(白色脂肪細胞)

脂肪は人体に蓄えられるエネルギー源のひとつです。脂肪と聞くと、肥満の原因にもなるため悪いイメージを持っているかも知れません。

以外なことに、この脂肪を蓄える細胞(脂肪細胞)の中には、脂肪の利用を促進する種類があるとされます。

脂肪はヒトの身体には、脂肪細胞に含まれる袋状の構造物(脂肪滴)に蓄えられます。脂肪細胞には、働きが異なる以下の2種類が存在します。

白色脂肪細胞は、主に脂肪を蓄えるのが主な役割であり、通常「脂肪」と言うとこれのことを指します。

もう一つの褐色脂肪細胞は、ミトコンドリアが多いため赤みがかって見える脂肪細胞です。この脂肪細胞は、同じ脂肪細胞でも白色脂肪細胞とは全く異なる働きを持ちます。

褐色脂肪細胞の仲間にベージュ脂肪細胞と呼ばれる脂肪細胞があります。これは白色脂肪細胞が変化して褐色脂肪細胞のような働きを持った脂肪細胞です。これを合わせると、人体には以下の三種類の脂肪細胞が存在します。

脂肪細胞の種類

(画像出典: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Adipocyte_types.jpg

この記事では、褐色脂肪細胞がどのような脂肪細胞であるかということと、褐色脂肪細胞やベージュ脂肪細胞が持つと言われる肥満防止効果について紹介します。

(この記事の情報の出典はページ下部にまとめて記載しています)

褐色脂肪細胞について

前述の通り、細胞内のミトコンドリアが多いため褐色に見えることからその名が付けられた脂肪細胞です。脂肪細胞ですので、白色脂肪細胞と同じように脂肪を蓄える働きを持ちます。

しかし、白色脂肪細胞がひとつの大きな脂肪滴(脂肪を蓄える袋)を持つのに対し、褐色脂肪細胞は複数の小さな脂肪滴を持つとされます。

褐色脂肪細胞自体の大きさも白色脂肪細胞の10分の1程度と小型です。

また、存在箇所も異なっています。白色脂肪細胞が全身の皮下や内臓に存在するのに対し、褐色脂肪細胞は鎖骨付近や肩甲骨周囲、脊椎周囲、胸などに多く存在します。そして、白色脂肪細胞との最も大きな違いは、その働きです。

褐色脂肪細胞は、脂肪を使って熱を生み出す働きを持ちます。特に4℃程度の寒い環境では、熱を生み出す働きを持つ分子(UCP1)を増やすためのタンパク質(TRPV2)を増加させることが知られています。

褐色脂肪細胞のTRPV2を取り除いたマウス(TRPV2ノックアウトマウス)による実験では、体温維持機能の低下やエネルギー消費量の減少などが報告されていることから、体温を調節に重要と考えられています。

TRPV2チャネルを持たないマウス(TRPV2KOマウス)を調べた結果、褐色脂肪細胞の熱産生機能が弱まり、冷たい刺激にさらされた時に体温を維持できなくなっていました。
加えて、熱産生機能が弱いTRPV2KOマウスは、エネルギー消費が少なく肥満になりやすいこともわかりました。
褐色脂肪細胞においてエネルギー消費を促す新たなメカニズムを発見 からだの熱産生に褐色脂肪細胞のTRPV2チャネルが関与 生理学研究所

体温を維持するための熱は、脂肪を消費して生み出します。したがって、褐色脂肪細胞が多いと寒さに強く、エネルギー(体に蓄えられた脂肪)を多く消費します。この作用を利用することで、肥満の予防や治療への応用が可能であると期待されています。

生まれたばかりの新生児(赤ちゃん)は、体温維持のために多くの褐色脂肪細胞を持っていることが知られています。しかし、この褐色脂肪細胞は、加齢とともに白色脂肪細胞に置き換えられて減少してしまいます。その減少量は40代で最も多くなるとされます。

乳児では全例が最も多量の褐色脂肪細胞を含み, 腎周囲脂肪はほとんど褐色脂肪細胞のみから成るが, 小児と10才代に減少が始まり, 40才代以後には著明に減少し, 腎周囲脂肪の持つ褐色脂肪の量は一般に少ない.
CiNii 論文 –  日本人の腎周囲脂肪における褐色脂肪組織の出現について

では、褐色脂肪細胞は減少する一方なのでしょうか。

実は、運動によって白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に似た働きを持つベージュ脂肪細胞に変換できるということが報告されています。

ベージュ脂肪細胞とは

白色脂肪細胞から生まれる、褐色脂肪細胞に似た脂肪細胞です。褐色脂肪細胞様細胞ブライト脂肪細胞とも呼ばれます。

厳密には褐色脂肪細胞とは異なりますが、同じ働きを行うことが知られています。

白色脂肪組織に混在するもう一つのタイプの褐色脂肪“様”細胞も知られています。この細胞はベージュ細胞あるいはブライト細胞と呼ばれ、白色脂肪細胞や褐色脂肪細胞と異なる独自の遺伝子発現パターンを示しますが、寒冷刺激やノルアドレナリン刺激等により UCP1 を高発現し、褐色脂肪細胞と同様に熱産生を行います。
脂肪細胞の分化メカニズム|遺伝子制御学研究室|筑波大学

ベージュ脂肪細胞を増やす

ベージュ脂肪細胞は、長期間寒い環境で生活することで皮下の白色脂肪細胞から変化して生じるとされます。

また、運動によっても白色脂肪細胞から変換(褐色化)されて生み出されます。この変換は、運動によって筋肉から分泌されるイリシンと呼ばれるホルモンによって行われると考えられています。

これ以外には、空腹時に肝臓から分泌されるFGF21も、白色脂肪細胞からベージュ脂肪細胞の生成を促進するそうです。

ベージュ脂肪細胞を増やすことができれば、脂肪の燃焼効率が高まり、肥満を防いでくれる可能性があります。

参考

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