ニンニクやネギ類に含まれるアリインやアリシンとは

アリインを含むニンニク

ネギやニンニクには独特の刺激があります。

これらの食材に含まれる成分には殺菌・抗菌作用があることが確認されています。

今回は、ニンニクやネギ類に含まれる殺菌成分のひとつであるアリインや、その代謝成分のアリシンについて紹介します。

アリインとは

アリインは、ネギ属の植物であるネギや玉ねぎ、ニラ、ニンニク、ラッキョウなどに含まれる無臭の物質です。

アミノ酸のシステインから生成されるようです。

アリインは、イオウ分を含むたんぱく質中のアミノ酸の一種であり、また、システインの誘導体である。
香川県産業技術センタ- 食品中の健康機能性成分の分析法マニュアル ニンニクのアリイン・アリシン

システインからアリイン及びアリシンが生成される流れ

アリインには複数の関連物質があります。例えば、玉ネギにはイソアリインなどをはじめとするタマネギアリインが含まれています。

タマネギアリインとはイソアリイン、シクロアリイン、メチインの総称です。
事例2 技術移転 タマネギ含硫アミノ酸配合サプリメント「T-アリイン」の開発|産官学連携事例|東海大学

アリインの健康効果

アリインの具体的な健康への効果についてです。

中性脂肪やコレステロールの低下

糖尿病モデルのラットを用いた実験では、アリインは血糖や中性脂肪、LDLなどを有意に低下させるにもかかわらず、HDLに変化を及ぼさないことが確認されています。

Alliin production noted ~50% enhancement in leaves from plants grown under in situ conditions. Serum glucose, triglycerides, total lipids, total cholesterol, low-density lipoprotein (LDL)-, and very low-density lipoprotein (VLDL)-cholesterol in diabetic rats treated with alliin produced from in situ grown plants noted significant reduction of ~54%, 15%, 14%, 20%, 24%, and 15%, while 35%, 14%, 10%, 12%, 17% and 11% reduction was noted in diabetic rats treated with alliin produced from ex situ grown plants in comparison with those administered with distilled water. High-density lipoprotein (HDL)-cholesterol did not show any significant change.
Alliin obtained from leaf extract of garlic grown under in situ conditions possess higher therapeutic potency as analyzed in alloxan-induced diabetic rats.

コレステロールのLDL、HDLについての詳しい説明は以下の記事をご覧ください。

コレステロールは悪者? コレステロールの種類と体の中での役割

アリシンとは

アリインやイソアリインなどは、アリナーゼという酵素によってアリシンという刺激臭の強い物質に変化します。

ニンニクやネギを切ったりすると匂いが強くなるのは、含まれるアリインがこのアリシンに変わることによるものです。

細胞が破壊されないと生成されない物質であり、これは害虫などから身を守るための仕組みであるとされています。

鱗茎内ではアリインとアリイナーゼは異なる細胞に局在しているので,鱗茎構成細胞が破壊されないかぎりアリシンは生成されない.
本来,ニンニクにおけるアリシンの生合成は,土壌中に生息する昆虫などの外敵から身を守るための防御機構としての意義を持つと考えられている.
公益社団法人 日本生物工学会 ニンニク成分の知られざるはたらき

アリシン自体は不安定な物質であり、空気に触れているとすぐにニンニク油の主成分であるジアリルジスルフィドに変化するそうです。

植物中に無臭成分アリインが含まれ、細胞死(破壊)があると酵素アリナーゼの作用により強臭刺激性のアリシンを発生させる。
アリシンは強抗菌性物質で、瞬間的にはグラム陽性および陰性菌に対しペニシリンにも相当する抗菌性がある。
しかし、アリシンは不安定物質で空気中では数十秒で揮発油主成分であるジアリルジスルフィドに変化
北海道大学 大学院地球環境科学研究院 自然環境保全分野 人間・生態システムコース 露崎史朗 ネギ属の野菜

放置しているだけでも分解が進み、長時間の調理にも弱いとされています。

アリシンは、安定な化合物ではなく、放置しても徐々に減少し、調理すると速やかに分解する。
香川県産業技術センタ- 食品中の健康機能性成分の分析法マニュアル ニンニクのアリイン・アリシン

アリインの分解物、アリシンにも、様々な健康効果が期待できます。
アリインが含まれる食材をきざむ・潰すなどして摂ると効果的です。さらに油で調理すると、アリシンそのものが壊れにくくなるといわれています。
ただし、アリシンは熱に弱く水に溶ける性質があるため、調理の際に長く熱するとなくなってしまいます。
アリイン | 成分情報 | わかさの秘密

アリシンの健康効果

アリインが変化したアリシンの健康効果についてです。

抗菌作用

アリシンは強い抗菌作用を持っており、食中毒の予防に効果があるとされます。

そして、「ニンニク + 白ネギ」や「ニンニク + ショウガ」のような、他の食材との組み合わせによって抗菌作用が強くなる場合があることが報告されています。

ニンニクと白ネギは同じアリシン産生酵素であるアリナーゼを共有しているため、混合により効率よく基質と反応して抗菌活性物質アリシンが生じやすくなったと考えられる。ニンニクとショウガの組み合わせではショウガに含まれる[10]-ジンゲロールが膜弱体化を行うことによって、抗菌活性物質の膜透過性が促進したと考えられる。
グラム陽性菌で抗菌活性の相乗効果が見られ、グラム陰性菌で抗菌活性の相乗効果が見られなかったのは膜の構造の違いに起因すると思われる。

薬味野菜を生魚や生肉と共に食べる事は、風味だけでなく食中毒予防の観点からも意義があると考えられ、古来より利用されてきたが、本研究の結果は、薬味野菜を複数組み合わせることで、その抗菌活性を相乗的に増強させうることを示している。
京都大学 薬味野菜による抗菌作用の相乗効果

ビタミンB1の吸収を促進

ビタミンB1とアリシンを一緒に摂取することで、ビタミンB1の吸収効率が良くなると言われています。

ビタミンB1(豚肉やうなぎなど)糖質の代謝を促進し、エネルギーを産生します。不足すると疲労物質である乳酸が体内に溜まり、疲れやすくなります。
ビタミンB1はアリシン(玉ねぎやにんにくなどに含まれる)と一緒に摂ることで吸収しやすくなります!
2016年7月発行 順天堂東京江東高齢者医療センター 栄養科 健康だより

アリシンの注意点

アリシンは強力な抗菌作用がありますが、生のニンニクの大量摂取などをすると人体にも悪影響があるという報告があります。

具体的には、貧血の原因となったり胃の粘膜を傷つけるそうです。

アリシンは血液中ではヘモグロビン中の2価鉄を3価鉄に酸化しメトヘモグロビンを生じ、生体に対して貧血などを引き起こし(23)、また胃粘膜傷害を引き起こすことが報告されているため(24)、生ニンニクの過剰な摂取は健康障害につながる恐れがある。
ただ、アリシンは不安定な化合物であり、20℃、20 時間でほぼ完全にニンニク特有の臭いを発するジアリルスルフィド類に分解され(25)、さらに温度や溶媒などの諸条件でジアリルスルフィド類、ビニルジチイン類、アホエン、S-アリルシステイン、S-アリルメルカプトシステインなどの多様な化合物に変化する(Figure 1-4)。
熟成ニンニク抽出液による大腸腫瘍の抑制効果に関する研究 – 県立広島大学

おしまい

ネギやニンニクは刻んだり良く噛んだりすることで、本来持っている成分が変化して別の健康効果を持つ物質が生成されることがわかりました。

一緒に食べるとビタミンB1の吸収率が良くなるということなので、ビタミンB1が豊富な豚肉などに刻みにんにくをかけるのが良さそうです。

参考

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