ライ麦とライ麦に含まれる成分

ライ麦

ライ麦パンを食べていて、ライ麦について気になったので調べてみたことをまとめます。

ライ麦とは

ライ麦は、西アジア〜カスピ海周辺が原産の麦の種類で、黒麦とも呼ばれます。

正式にはイネ科ライ麦属の植物です。

ライ麦を使ったパンは主にロシア・ヨーロッパ圏で食べられていますが、日本のパンに比べてさっぱり(ぱさぱさ)しています。

これはライ麦でパンを作ると、小麦が作るような弾力のあるグルテンが形成されないことが原因のようです。

ライ麦パンは,ロシアや東欧諸国を中心に消費され,日本では黒パンとして知られている(星川1996)。
ライ麦は小麦と違いグルテンを形成することができないため,ドイツではサワー種を使用してパンを加工するのが主流である。このため,黒パンは独特の風味が出て重く硬いパンとなる(吉野 1999)。
この独特の風味や食感は,米食が基本であり白くやわらかいパンを好む日本人には,全体として好まれることは少なかった。
しかし,ライ麦は小麦よりもビタミンB1,B2や食物繊維が多く,生活習慣病等の予防に役立つことや,小麦アレルギーのアレルゲンである小麦タンパクを含まないこと(義平 2006)などから,近年ライ麦パンが注目され始めた。
酪農学園大学学術研究コレクション ホーム北海道産ライ麦を使用したパンの性状と嗜好性

現在は、北海道などの限られた地域のみですが、パン用のライ麦の生産が国内で行われているようです。

一方,農家で流通しているライ麦種子の大部分は北海道において緑肥用,東北,関東地方においては冬作飼料用であり(義平 2011),パン用としてライ麦を栽培しているのは,帯広市や当麻町などごく一部に限られ,国内でパン用に製粉されるライ麦の大部分は輸入されたものである。
酪農学園大学学術研究コレクション ホーム北海道産ライ麦を使用したパンの性状と嗜好性

「ライ麦 国内」で検索してみると、江別製粉株式会社がライ麦とそれを使った食品について紹介しています。

北海道産ライ麦製品のご紹介 – お知らせ

パン用のライ麦が国内で生産され始めたのは比較的最近のようです。

北海道酪農学園大学と北海道江別市による「育種・作物学会北海道談話会会報」によれば、2001年以前、食用ライ麦の国内生産は全く無かったことがわかります。

ライムギ粉は少量ずつであるが全国で一定の需要がある。しかし、日本国内ではパン用ライムギの栽培は行われておらず、輸入で対応している。江別麦の会においては、江別周辺でライムギを生産し、道産コムギとブレンドし、パン・菓子類を加工、流通させることを現在、検討中である。
江別市におけるライムギの生育、収量性の品種間差異

ライ麦に含まれる成分

ライ麦の健康に関わる成分についてです。

フィチン酸

玄米にも含まれる、抗酸化作用を持つ成分であるフィチン酸イノシトール6リン酸)が含まれます。

米粉、玄米粉の塩化ナトリウム洗浄により、過酸化脂質量の変化を求めたところ、米粉では、玄米と比べ過酸化脂質量の生成量が有意に高い値を示した。この事から、玄米には白米と比べ、抗酸化作用を示すフィチン酸が多く含まれ、過酸化脂質の生成量を抑制した事が考えられた。
玄米粉の塩化ナトリウム洗浄が、
フィチン酸の抗酸化作用に与える影響

しかし、フィチン酸にはミネラルに強く結合する特性があり、ミネラルの吸収を阻害する効果もあるので、摂りすぎは禁物です。

これは、植物が金属イオンを貯蔵するために必要な働きであると言われています。

フィチン酸は、強いキレート作用を示し、多くの金属イオンと強固に結合するため、リン貯蔵物質としてだけでなく金属の貯蔵物質としての役割を併せ持つ。
植物種子の金属蓄積に果たすリン貯蔵物質の役割を解明 | 東京大学大学院農学生命科学研究科

ライ麦ではなく全粒粉に関してですが、フィチン酸がカルシウムの吸収を阻害していることが1940年ごろに判明したとされています。

参考: ジョン・ボイド・オールの食料政策論 (中)

また、人間はフィチン酸を分解する酵素を持っていないので、種子に含まれるフィチン酸と結合したミネラルを消化吸収することができないと言われています。

ビタミンB1

一等薄力粉と比べると、ビタミン・ミネラルが豊富です。

参考: 穀類/こむぎ/[小麦粉]/薄力粉/1等穀類/ライむぎ/ライ麦粉

特にビタミンB1は、ライ麦の全粒粉100gあたりに約0.5mg(一食の摂取基準)が含まれます。(時事通信出版局 食材健康大事典 より)

おしまい

ライ麦の栄養価は少し高めのようです。

食感の好みもあると思うので、美味しいと思う麦のパンを選ぶのがいいと思います。

参考

女子栄養大学教授 五明紀春 KNUダイエット ライ麦

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