インフルエンザを予防するOLL1073R-1乳酸菌(R-1乳酸菌)について

最終更新日時 : 2018年2月5日
乳酸菌を含むヨーグルト

R-1乳酸菌という乳酸菌を含むヨーグルトなどの乳製品にはインフルエンザの予防効果があるとされます。

今回は、R-1乳酸菌についてとその健康効果について紹介します。

R-1乳酸菌とは

正式な名称は「ラクトバチルス・ブルガリクス OLL1073R-1」です。

「株式会社 明治」で研究され、同社の乳製品シリーズである「明治プロビオヨーグルトR-1」に含まれています。

正式名称はLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1。
この乳酸菌がつくりだすEPS(多糖体)は、新しい可能性を秘めた成分です。
明治プロビオヨーグルトR-1|株式会社 明治

EPSexopolysaccharide または Exocellular polysaccharideエキソポリサッカライド)とは、乳酸菌が生み出して体の外に放出する多糖(単糖類がたくさん結合したもの)です。

正式には菌体外多糖と呼ばれ、菌が住みやすい環境を作るために放出するものです。乳酸菌の種類によってEPSを構成する単糖の種類や比率が異なります。

R-1乳酸菌が生み出すEPSがどんな単糖からできているかというと、ガラクトースグルコースブドウ糖)が3対2の割合で含まれると言われています。

乳酸菌が産生するEPSの構造は、菌種間だけではなく、菌株間でも異なることが報告されている。
例えば、Lactobacillus plantarum C88が産生するEPSは、ガラクトースとグルコースから構成され、そのモル比は1:2、分子量は1.15×106Daであるが、L. johnsonii strain 151が産生するEPSは、構成糖は同じであるが、そのモル比は4:1、分子量は1.0×105 Daである。
さらに、L. delbrueckii subsp. bulgaricus NCFB2074が産生するEPSは、ガラクトースとグルコースから構成され、そのモル比は4:3、分子量は1.8×106 Daであるが、L. delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1が産生するEPSは、構成糖は同じであるが、そのモル比は3:2、分子量は1.2×105Daである。
神戸大学大学院 大澤研究室 Lactobacillus delbrueckiiの菌体外多糖類の免疫賦活性に関する研究

ヨーグルトのまろやかな食感も、このEPSによって作られていると言われています。

EPSが食品に与えている役割について,もっとも知られているのはヨーグルトの製造過程においてであろう.EPSを産生するStreptococcus thermophilusとLactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricusをヨーグルトのスターター菌として用いることによって,粘性が増して分離を防ぐとともに,ヨーグルトらしいまろやかな食感がうまれる.
公益社団法人 日本生物工学会 松﨑千秋 乳酸菌が産生する菌体外多糖の働きは?

食感だけではなく、様々な体への良い影響が確認されています。

EPSは消化されにくい多糖類であるため、大腸まで届いて、そこに生息するビフィズス菌などの成長を促進する効果が確認されています。

また、後述する免疫力の強化作用なども報告されています。菌の種類によって作られるEPSは違うようです。

R-1乳酸菌は、このEPSを最も多く生み出す乳酸菌であることが報告されています。

インフルエンザに効果があるとされる根拠

R-1乳酸菌によって生み出されるEPSが、体に良い影響を与えることはわかりましたが、なぜこれがウイルスへの耐性を高めるのでしょうか。

R-1乳酸菌が生み出すEPSは、ナチュラルキラー細胞NK細胞)と呼ばれる免疫細胞を活性化させることが報告されています。

Lb. delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1の産生するリン酸基を多く含む酸性EPSは,自然免疫系の要であるウイルス感染防御活性(ナチュラルキラー細胞の活性)を高めることが明らかとなっている.
この菌による発酵乳を用いたヒト試験において,実際にウイルスへの抵抗力が強まることも示されている.
公益社団法人 日本生物工学会 松﨑千秋 乳酸菌が産生する菌体外多糖の働きは?

R-1乳酸菌ではありませんが、ブルガリア菌が生み出すEPSも免疫強化効果が報告されており、より詳しくその原理を調べた実験によると、EPSに含まれる酸性多糖APS)がリンパ球やマクロファージの機能強化に関わることが示唆されています。

EPS をイオン交換クロマトグラフィーに供したところ、非吸着の中性多糖(NPS:約 26mg/l)と吸着した酸性多糖(APS:約 7mg/l)が得られた。
EPS、NPS および APS についてリンパ球の幼若化活性を測定したところ、EPS は脾臓リンパ球に対して幼若化活性を示し、その活性は全て APS により発現することが判明した。
さらに APS はパイエル板のリンパ球幼若化作用も増強した。
またマクロファージの貪食能は APS 刺激で増強されることが、in vivo および in vitro の実験で確認された。
APS には直接毒性はなく、マクロファージの細胞障害性を有意に増強することが判明した。
東北大学大学院農学研究科・動物資源化学分野 ヨーグルトスターター乳酸菌が生産する菌体外多糖とその機能性

R-1乳酸菌では、まずマウスの実験によって抗インフルエンザ作用が確認されました。

ウイルス感染後、生存率を観察し、コントロールである蒸留水投与群との比較によりEPS、中性EPS、酸性EPSの抗インフルエンザ活性の評価を行なった。
その結果、EPS、酸性EPSを経口投与したマウスではインフルエンザウイルス感染後の生存日数が蒸留水を経口投与したマウスに比べ有意に延長し、抗インフルエンザ活性が認められた。
株式会社 明治 食機能科学研究所 ヨーグルト乳酸菌が産生する菌体外多糖の利用と培養条件の影響

さらに、児童を対象に給食にR-1乳酸菌を使用したヨーグルトを加えたところ、インフルエンザ罹患率が大きく下がったことが報告されています。

2010年度には、舟形町と有田町の保育園・幼稚園から中学校までの児童・生徒を対象に、給食でR-1乳酸菌を使用したヨーグルトを提供。どちらの地域でも児童・生徒のインフルエンザ罹患(りかん)率が全国平均より低かったと報告されている。
特に有田町では、隣接市に比べて児童・生徒のインフルエンザ罹患率が約10分の1程度に抑えられたことを同町内の医師が発表。
手洗いやうがいの励行とともに、インフルエンザ予防に効果のあるアイテムとしてワイドショーなどで取り上げられてR-1乳酸菌への関心が高まった。
R-1乳酸菌 – Jinkawiki(朝日新聞出版発行「知恵蔵2012」より)

以上のことから、人間に対してもR-1乳酸菌が生み出すEPSがインフルエンザウイルスに対する抵抗力を上げることがわかります。

「株式会社 明治」が公開している様々な試験の報告からも、R-1乳酸菌によってウイルスへの耐性が上がったことが読み取れます。

株式会社 明治 食機能科学研究所 ヨーグルト乳酸菌が産生する菌体外多糖の利用と培養条件の影響

また、風邪をひくリスクは、牛乳と比べて40%程度まで低下すると報告されています。

おしまい

R-1乳酸菌が生成するEPSによる効果は、実際に様々な実験によって確かめられていました。

飲むだけで風邪やインフルエンザに罹りにくくなるのであればとてもありがたいですね。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

PAGE TOP