コンニャクは「お腹の中を綺麗にしてくれる」や「ほとんど栄養がない」などと言われるゼリーのような食品です。
実際の栄養成分やその健康への効果について調べてみました。
コンニャクとは
コンニャクはサトイモ科コンニャク属の「コンニャク」という芋から作られる食品です。分類上はサトイモの仲間です。
漢字では蒟蒻または魔芋と書かれます。
コンニャク芋のほとんどは群馬県で作られています。
全国のこんにゃく芋の90%以上が群馬県で生産され、その生産量は約5〜6万トンです。日本一の産地を支えるこんにゃくいも品種は「あかぎおおだま」で病気に強く、県内生産の約8割を占めています。
こんにゃく芋の産地と栽培 | 株式会社関越物産
その主成分はグルコマンナンと呼ばれる糖(多糖類)です。
コンニャクイモに含まれるグルコマンナンは、水を吸収すると膨張して、非常に容積が大きくなり、粘度の高いコロイド状態を呈す。これに石灰水その他のアルカリを加えて加熱すると、凝固して半透明の弾力のある塊になる。
真柳誠 中国食文化の研究 コンニャクの歴史
グルコマンナンは、グルコース(ブドウ糖)とマンノースという2つの単糖が 2 : 3 の割合で大量に結合した巨大な分子です。
天然に存在する多糖類の中では最大であるとされています。
グルコマンナンは多糖類なので「糖質」だと思われるかもしれませんが、その構造により消化管内では消化されにくいため、食物繊維として働きます。
そして、コンニャクに含まれるグルコマンナンのことを、特にKGM(コンニャクグルコマンナン : Konjac glucommannan)と呼びます。
KGM の水溶液は極めて高い粘性を示し約200倍以上に膨潤する。
KGM を構成する糖は,β-1,4結合により結合されているため,ヒトの消化酵素によりほとんど分解されないので,ヒトの消化器ではあまり変化せず通過する。
ヒトの消化酵素により変化しないということは,高分子を保持した状態で胃・小腸を通過し大腸に達することで,小腸における栄養の吸収に影響を及ぼすとともに,大腸においては生息する腸内細菌に栄養を与え,糞の通過速度と量に影響を与える。
微細化コンニャクグルコマンナンが野菜ジュースの品質保持に及ぼす効果
確かにコンニャクを触ってみると、ヌルヌルツルツルでつかむのが難しいです。
ちなみに、英語では悪魔の舌(デビルズ・タング)と呼ばれるそうです。
コンニャクの色の違い
白いコンニャクと黒いコンニャクの色の違いは、生のコンニャクを使うかコンニャク粉を使うかによって決まるようです。
製粉したコンニャク粉を使えば白くなり、生のコンニャクを使ったり海藻の粉末を混ぜたりしたものは黒くなります。
コンニャクイモの約半分は、生のままでこんにゃく製造に用いられる。こうしてできたものは色が黒っぽく、とくに関西のほうで好まれる。
残りの半分は乾燥されて荒粉になる。この荒粉を搗いて微細な粉にし、皮やゴミ、デンプンなどの不純物を風力で飛ばし、残ったグルコマンナンの部分だけ集めたものを精粉という。精粉から作ったこんにゃくは白い。
真柳誠 中国食文化の研究 コンニャクの歴史
もともとこんにゃく芋を製粉化した、こんにゃく粉から作るこんにゃくの色は白色です。
一方、生芋から作るこんにゃくには、その皮などが入って黒っぽくなります。
黒いこんにゃくと白いこんにゃくの違いは
コンニャクの栄養成分
コンニャクのうち、生芋コンニャクの栄養成分を見てみましょう。
出典: いも及びでん粉類/こんにゃく/板こんにゃく/生いもこんにゃく
栄養 | 量 | |
---|---|---|
水分 | 96.2g | |
タンパク質 | 0.1g | |
脂質 | 0 | |
炭水化物(食物繊維) | 3.3g(3.0g) | |
ミネラル | ナトリウム | 2mg |
カリウム | 44mg | |
カルシウム | 68mg | |
マグネシウム | 5mg | |
リン | 7mg | |
鉄 | 0.6mg | |
亜鉛 | 0.2mg | |
銅 | 0.04mg | |
ビタミン | B6 | 0.02mg |
葉酸 | 2μg | |
ビオチン | 0.1μg |
96%近くが水で、その次に多いのが食物繊維(3%)でした。
ほとんど水と食物繊維しかありません。
コンニャクの健康効果
三大栄養素的な栄養はありませんでしたが、その主成分である食物繊維(グルコマンナン)は水溶性食物繊維に分類され、血糖を上がりにくくしたり、便秘を解消するなどの健康効果が確認されています。
食物繊維として多機能を有する KGM は多くの研究がなされ,これまでに血清コレステロールの低下作用,血糖調節作用,便秘改善効果,体重減少効果などの報告がされている。
微細化コンニャクグルコマンナンが野菜ジュースの品質保持に及ぼす効果
1972年に Trowell によって dietary fiber(食物繊維)の定義が提案されたが,KGMは水溶性食物繊維に分類されている。Burkitt による食物繊維仮説が報告された1970年代以降,KGMの生理作用についても大腸ガン,糖尿病,高脂血症などに対する疾患予防効果ならびに腸内細菌叢の改善作用など,多彩な機能が明らかにされている。
広島大学大学院先端物質化学研究所 博士論文 コンニャクグルコマンナンの免疫調整作用と機能性食品への応用に関する研究
また、同研究によれば、細かく砕かれたグルコマンナンにはアトピー性皮膚炎やアトピー性鼻炎の抑制作用があることが示唆されています。
前述のように腸内環境を良くする効果も確認されています。
しらたき(白滝)とコンニャクの違い
しらたきとコンニャクは形が違うだけで、素材や作り方は同じです。
ちなみに糸コンニャクとしらたきも同じもののようです。
おしまい
思った以上に基礎的な栄養はありませんでしたが、お腹に良いというのは本当のようです。
ほとんど水分であるため、ダイエット食品としても注目されています。
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