食酢(お酢)の栄養成分と健康効果 肥満や血糖上昇を抑える

調味料の酢・食酢

お酢)は酸味のある調味料です。とも書かれます。

食べる酢であることを強調して食酢と表記することもあります。

酢について

酢は、酒が偶然発酵したことで発見されたもので、塩の次に古い調味料と言われています。

米と麹(こうじ)、酒や酒かすなどから作られます。

酒にできるものなら酢にすることができるので、穀物の酢(米酢や玄米酢など)や果物の酢(リンゴ酢やブルーベリー酢、ワインビネガーなど)など、様々な種類が存在します。

ビネガーvinegar)は酢を意味する英語です。日本で使われる場合は西洋風の酢のことを表す場合が多いです。

酢の成分

酢の主成分は、酢酸(CH3COOH)と呼ばれる無色の液体です。

酢酸の化学構造

体の中にも存在する物質で、高い安全性が確認されています。

例えば、脂肪酸やアルコールに含まれる有害なアセトアルデヒドは肝臓で酢酸に代謝(変換)されます。

栄養成分表からわかる、穀物酢100gの栄養素は以下の通りです。他の酢では若干異なる可能性があります。

出典: 調味料及び香辛料類/(食酢類)/穀物酢

栄養
水分 93.3g
タンパク質 0.1g
脂質 0
炭水化物 2.4g
ミネラル ナトリウム 6mg
カリウム 4mg
カルシウム 2mg
マグネシウム 1mg
リン 2mg
亜鉛 0.1mg
ビタミン B1 0.01mg
B2 0.01mg
ナイアシン 0.1mg
B6 0.01mg
B12 0.1μg
ビオチン 0.1μg

三大栄養素やビタミン、ミネラルといった成分はほとんど含まれないようです。

酢の効果

酢とその主成分である酢酸の効果を、学術機関などから発表されている情報を元に紹介します。

殺菌効果

アルコール消毒液の代わりに酢を用いて、その殺菌効果を調査した実験によると、70%エタノール消毒液の代用として使えるほどの高い殺菌効果を持つことが確認されました。

これらの結果から 100%原液酢綿を用いた塗擦消毒には,一般細菌,表皮ブドウ球菌ともに,以前の我々の研究論文で示されている70%エタノール綿を用いた場合(70%エタノール綿を用いた場合の一般細菌及び表皮ブドウ球菌の消毒効果はともに 98.9%であった)と同程度の高い消毒効果があることがわかり(芋川,小関,2008),70%エタノールの代用として,有効に利用することが可能であると思われる.すなわち,一般家庭のどこにでもあり,手軽に手に入る上,健康にほとんど害のない「酢」を70%エタノールの代用として,「自宅」で個人が使える消毒液として有効に利用できることが明らかとなったことはとても重要であろう.
表皮上の細菌数は酢による処置で大幅に減少する

酢を使った食品が長持ちするのは、雑菌の増殖を押さえられるためであることが科学的に確認されています。

肥満や糖尿病の予防効果

2型糖尿病のモデル動物での実験で、余分な脂肪が蓄積することを防いで肥満を抑制する効果や肝臓での脂肪の合成を抑える効果が確認されています。

食事や飲料などとして外因性に摂取された酢酸には余剰体脂肪の蓄積抑制,脂肪肝抑制,耐糖能改善,また骨格筋における脂肪代謝促進作用があることなどを示した。
日本栄養・食糧学会誌 第67巻 第4号 酢酸の生理機能性

また、血液中の総コレステロールの量を低下させることも、人間に対する実験で明らかとなっています。

始めに動物実験によって食酢摂取が血中コレステロール値の低下に有効であることを確認し、その効果成分が食酢の主成分である『酢酸』であることを解明しました。
今回の研究では、血中コレステロール値が高めのヒトを対象として、食酢摂取の有効性および安全性を評価することを目的に臨床試験を実施しました。

食酢15ml以上を毎日摂取することにより、高めの血中コレステロール値を低下させることが証明されました。 またその有効成分は食酢の主成分である「酢酸」であることが分かりました。
食酢の主成分『酢酸』による血中コレステロール値の低下作用を確認 初のヒト試験での有効性・安全性を学会にて発表

酢を毎日15ml摂取することで、コレステロールを抑える効果が得られるそうです。

血糖値を下げる効果

糖類の分解速度を緩やかにする(糖類を分解する酵素の働きを抑える)ことで、血糖が上がるのを防ぐ効果が確認されています。

食酢の主成分である酢酸は、胃内滞留時間の延長による消化・吸収の遅延が示唆されています。また、Caco-2培養細胞を用いた実験結果から酢酸は小腸上皮粘膜細胞微絨毛の二糖分解酵素活性を低下させることも示されています。

結果、米飯単独より米飯に食酢を組み合わせた方が食後の血糖値は有意に低下しました。また、血糖があまり上がらないグループより、上がりやすいグループの方に抑制効果が強くあらわれました。その効果は食酢10mlより20mlの方が強いこともわかりました(遠藤美智子,松岡孝(2011)食酢の食後血糖上昇抑制効果.糖尿病54(3):192-199)。
食後高血糖を抑制する食事|遠藤 美智子|食品栄養学科 ~教員レター~ – 食品栄養学科

おしまい

身近な調味料である酢ですが、実は血糖上昇や脂肪蓄積を抑えてくれる効果があり、生活習慣病の予防にうってつけの調味料であることがわかりました。

酢自体にも摂りすぎに注意する必要のある栄養素が含まれていないため、安心して使うことができます。

毎日少しづつ食事に酢を取り入れていくと良いかもしれません。

参考

香酢(こうず) |  栄養士・調理師・製菓衛生師の学校:兵庫栄養調理製菓専門学校

秋草学園短期大学 文化表現学科 酢

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