辣油(ラー油)とは、唐辛子油のことで、ごま油で唐辛子を煮て、油に辛味をつけた調味料です。
ピリッとした辛さをつけるときにぴったりで、中華料理によく使われます。
この辣油ですが、実は健康的な油成分を多く含む食品です。今回は、辣油に含まれる栄養成分について詳しく紹介します。
辣油の栄養成分
一回あたりの辣油の使用量(10g)に含まれる栄養成分は以下のようになります。
出典: 文部科学省 食品データベース 調味料及び香辛料類/(辛味調味料類)/ラー油
栄養 | 量 | |
---|---|---|
水分 | 0 | |
タンパク質 | 0 | |
脂質 | 飽和脂肪酸 | 1.458g |
一価飽和脂肪酸 | 3.551g | |
多価不飽和肪酸 | 4.315g | |
炭水化物 | – | |
ビタミン | A(βカロテン当量) | 71μg |
A(レチノール活性当量) | 6μg | |
E(αトコフェロール) | 0.4mg | |
K | 1μg |
辣油は純粋な油ですので、脂質が100%(10gのうち10gが脂質)となります。水分も含まれません。
実際にラベルを見てみると、ゴマ油とコーン油が主成分であることがわかります。(製品によってはゴマ油が100%のものもありあます)
辣油の栄養成分で注目すべき点
さて、上記の表から、辣油には油しか含まれないことがわかりましたが、どこに健康要素があるのでしょうか。
多価不飽和脂肪酸が多い
上記の表より、辣油に含まれている脂肪酸の43%が多価不飽和脂肪酸であることがわかります。
以前、このサイトでも紹介しましたが、多価不飽和脂肪酸は、主に魚に含まれる固まりにくい油であり、神経細胞の増加に必要なものです。
辣油に含まれる油は、この不飽和脂肪酸に加え、オリーブオイルの主成分である一価飽和脂肪酸も、飽和脂肪酸よりも多く含まれています。
飽和脂肪酸(固まりやすい脂)と不飽和脂肪酸(固まりにくい油)の体内での働きの違いについては以下の記事を御覧ください。
辣油に不飽和脂肪酸が多い理由は、主成分がゴマ油なので、それに含まれる不飽和脂肪酸が多く含まれていることです。具体的にゴマ油に含まれる不飽和脂肪酸にはn-6系脂肪酸(リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸など)があります。
ビタミンAとビタミンEを含む
10gの割には、ビタミンも多く含んでいます。
ビタミンAは、以前紹介しましたように、皮膚や目の機能に必須な栄養素です。
6μgと言われても、どれくらいか想像しにくいと思いますが、これはキャベツ100gとほぼ同じ量です。
100gのキャベツには、レチノール活性当量で約7μgのビタミンAが含まれます。
皮膚のシミを予防するビタミンについて(ビタミンA、ビタミンC)
ビタミンEは、抗酸化作用を持つ代表的な栄養素です。アーモンドに含まれることを以前紹介しました。
とはいえ、これらのビタミンはもちろん辣油だけでは全く足りないので、他の食品も摂取する必要があります。調味料としては多いという話です。
注意点
辣油だから不飽和脂肪酸が多いわけではなく、ゴマ油を主成分とした辣油に不飽和脂肪酸が多くなります。
したがって、辣油を購入する際には、成分表を見て何の油が主成分かを確かめてから買うと良いでしょう。
純正胡麻油などと書かれた商品は100%ゴマ油の辣油です。
辣油に含まれる不飽和脂肪酸は、NHKで2017年1月11日に放送されたピーナッツの健康成分と同じです。
ピーナッツのおよそ半分は脂肪ですが、ピーナッツの油には「飽和脂肪酸」や「不飽和脂肪酸」が非常にバランスよく含まれています。油というと体に悪そうに思うかもしれませんが、実は全身の血管を強くしなやかに保つ大切な栄養素。
血管を強くしなやかに!ピーナッツパワー解放ワザ – NHK ガッテン!
現代の食生活は、飽和脂肪酸が過剰になりがちなので、不飽和脂肪酸が多いものを積極的にとってバランスを取ることが重要となります。