激しい関節痛を起こす病気「痛風」の原因と対策についてです。
痛風の症状
痛風は関節が腫れて激しい痛みを起こす病気です。
痛風による関節炎は突然起こるので、痛風発作と呼ばれることもあります。
特に足の親指の付け根に起きることが多いそうですが、足首や膝でも起こります。
「歩くことも立つこともできないくらいの激痛」
「骨折以上の痛み」
などと表現されています。
痛みは数日すると、一時的には引いていくそうですが、原因がなくなったわけでは無いので、再発や他の病気の原因になるみたいです。
典型的な痛風発作では痛みが激しく、歩行困難になることも少なくありませんが、10日前後で軽快します。当初は年1~2回程度の頻度ですが、放置すると次第に頻発・慢性化します。
東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター 痛風とは
痛風の原因は尿酸
痛風は「尿酸」という老廃物の一種が血液中に増えて体の中に溜まった結果、体の中で結晶になり、激しい関節痛が生じる病気です。
酸という物質が関節の中で固まって結晶になるために起こる関節炎を主な症状とする疾患です。
結晶が関節に溜まっているだけでは痛みは起きないそうです。しかし、関節に溜まった尿酸の結晶が何らかの原因によって剥がれ落ちると、体内の白血球がそれを異物として認識します。
白血球が異物である尿酸結晶を排除しようとする過程で、激しい炎症を引き起こし激痛が起きるそうです。
下記のサイトには図を使ったわかりやすい説明があります。
プリン体は尿酸に変わる物質
よく、ビールはプリン体が多く含まれているから控える方がいいと言われます。
しかし、プリン体が含まれている食品というのはビール以外にもたくさんあり、高プリン体食品に指定されているものもあります。
例えば以下のような食品です。
高プリン体食品一覧
名前 | 100g当たりのプリン体の量 (mg) |
---|---|
煮干し | 746.1 |
鰹節 | 493.3 |
干し椎茸 | 379.5 |
鶏レバー | 312.2 |
マイワシの干物 | 305.7 |
イサキ白子 | 305.5 |
こうしてみると、煮干しなど魚の干物にはプリン体が多く含まれているみたいです。
プリン体と一言で言っても、様々な種類が存在します。例えば、コーヒーに含まれるカフェインもプリン体のひとつです。
プリン体が痛風と関係ある理由は、プリン体が体内で代謝されると最終的には尿酸になるからです。
つまり、消化されることで痛風の原因物質である尿酸になってしまうことからプリン体が危険視されているのです。
しかし、最近の見解では、食べ物によって作り出される尿酸は全体の2割程度であると言われています。
尿酸値が高くなってしまう理由として知られているのが「プリン体」。あんきもやしらこ、レバーなどに多く含まれ、食事でとると体の中で尿酸を作り出してしまいます。
でも実は、食べ物は尿酸を作り出す原因の2割しかありません。
残りの8割は、体の細胞から新陳代謝などで作り出されます。プリン体は細胞の中にある遺伝子の部品なので、新陳代謝で古い細胞が壊れたり、筋トレなど激しい運動で細胞が壊れると中から出てきて尿酸に作り変えられます。
プリン体じゃなかった!尿酸値を下げる秘策SP – NHK ガッテン!
後述する「実際になった人に話を聞いてみた」でも触れますが、特にプリン体と関係無い生活をしていても痛風になるケースがあるので、プリン体だけを控えればよいというわけではないようです。
尿酸が溜まる原因
原因として食生活が欧米化した結果、動物性タンパク質や動物性脂質を取りすぎるようになったことが指摘されています。
これによる肥満に加え、アルコールの過剰摂取も原因のひとつです。
アルコールが体の中で分解されると尿酸ができます。
つまり、アルコールそのものが尿酸を作る原因になってしまうわけです。
特に、ビールはアルコールに加えてプリン体も含まれているので控えるのがよい、と考えられています。
以下のことに心当たりがあるようでしたら、生活を見直してみるといいかもしれません。
- 肥満
- アルコールの飲み過ぎ
- 果糖の取りすぎ
- 水分不足
- 運動不足
糖類の中でも果糖(フルクトース)は、体内で代謝される際に、血中尿酸値を上昇させることがわかっています。
そのため、甘いお菓子や清涼飲料水の取りすぎにも注意が必要です。
とくに、健康診断の「尿酸値」の数値が 7.0mg/dL を超えている方は、要注意です。
尿酸値がこの数値よりも増えると、尿酸の結晶がだんだん関節に溜まるようになります。
男性の方が女性よりも痛風になりやすい
血液中の尿酸値はもともと男性の方が女性よりも高いので、痛風患者さんもほとんどが男性だそうです。
また、痛風の大きな特徴の一つとして、発症頻度に男女差が大きいことが知られています。女性の痛風患者さんの割合は、全体のわずか1.5%と報告されており、事実上、痛風は男性の病気と言えます。
痛風が男性に多い原因ははっきりしていて、痛風の原因となる尿酸の血中濃度が、女性に比べずっと高いためです。
滋賀医大病院ニュース 痛風ってどんな病気?
腎臓にも影響が
痛風はそれ自体激痛が発生する大変な病気ですが、実は腎臓などに影響が出る前の初期症状です。
放っておくと、尿が酸性になることによって、他にも激痛を伴う病気である尿路結石などを発症する可能性があります。
痛風患者は酸性尿を呈することが多く、酸性尿(尿pH6.0未満)は尿中での尿酸の結晶化を促進され、尿路結石や腎機能障害発症のリスクがあります。
東京女子医科大学 膠原病リウマチ痛風センター 痛風の治療
牛乳に含まれるタンパク質に痛風予防効果
牛乳などの乳製品が、体内の尿酸を排泄する働きがあることが確認されています。特に低脂肪牛乳が効果的だそうです。
豆乳は乳製品ではないので、その効果がないとされています。
体質は変わらなくても「尿酸の排せつ」を増やして高尿酸を防ぐことはできます。牛乳はその効果が確かめられている食品です。
飲む量は1日コップ1杯で十分で、できれば低脂肪の方がより高い効果が期待できます。
牛乳以外にヨーグルトなどの乳製品も「尿酸の排せつ」を促してくれます。
残念ながら豆乳には尿酸値を下げる効果は期待できません。
プリン体じゃなかった!尿酸値を下げる秘策SP – NHK ガッテン!
これは2005年に American College of Rheumatology より発表されていた結果と一致しています。
牛乳に含まれるタンパク質であるカゼインとラクトアルブミンが尿酸値を下げる効果を持つようです。
We found a significant inverse relationship between dairy consumption and serum uric acid levels,
which is consistent with previous reports (10,11). Ingestion of milk proteins (casein and lactalbumin) has been shown to decrease serum uric acid levels in healthy subjects via the uricosuric effect of these proteins (11).
Intake of Purine-Rich Foods, Protein, and Dairy Products and Relationship to Serum Levels of Uric Acid
[日本語訳] 私たちは、以前の報告と同様、乳製品の消費量と血清尿酸値に明らかな逆相関の関係があることを発見しました。牛乳のタンパク質(カゼインとラクトアルブミン)の摂取は、これらタンパク質の尿酸排泄効果によって血清尿酸値を正常値まで低下させました。
実際になった人に話を聞いてみた
筆者の父が実際に痛風を経験していたので話を聞いてみました。
どんな症状だったか
「寝てたら親指の付け根がものすごく痛くて起きた」
症状が起きてからどうしたか
「とりあえず我慢して寝たら次の日は痛くなくなった」
その時は痛風だと分からなかったため病院にも行かなかったそうです。
「しばらくしてまた痛みが出たので病院で薬をもらって治療をした。そのあとは再発してない」
他に気になったこと
「その時の検査で血尿が出ていた」
放っておくと腎臓に影響が出るというのは本当みたいですね。
原因と思われること
「偏食。卵ばっかり食べてた。卵かけごはん」
もしかしたら高タンパクな食品の食べ過ぎが原因になったのかもしれませんね。
卵にはプリン体は含まれていないみたいなので、この症状はプリン体ではなく、直接尿酸が増えたことが原因のようです。
卵・乳製品のプリン体(卵・チーズなど) – e痛風治療ガイド
痛風の治療
薬で尿酸の結晶をなくします。しかし、一度尿酸結晶をなくしても、尿酸が高い体質を改善しない限り再発する可能性があります。
おしまい
今回は身近に痛風になった方がいて話を聞くことができました。
文献に書かれていることと一致する部分が多かったことを確認できたので、情報の信憑性を担保できたと考えられます。