今回は健康に効果があるとよく聞くようになったポリフェノールについて調べてみました。
ポリフェノールとは
ポリフェノール(polyphenol)は植物に含まれる成分の名前です。
ポリフェノールはファイトケミカルと呼ばれる、植物が害虫や紫外線から身を守るために体に蓄える色素のひとつです。
植物にとっては下記の効果がある成分です。
- オーキシン(植物ホルモン)の生成やその他の成長コントロールを行う
- 紫外線から身を守るための色素
- 草食動物からの防衛
- 細菌感染を防ぐ
Polyphenol – Wikipedia, the free encyclopedia
よく「ポリフェノールは植物の色素の元になる」「苦味の成分」と言われますが、これらは植物にとって「紫外線から身を守る」「動物に食べられにくくする」という意味を持っているのですね。
ポリフェノールの種類は、現在8000以上見つかっているそうです。
ブルーベリーのアントシアニンや、緑茶などのカテキンなどはポリフェノールの一種です。
ポリフェノールの健康効果
植物が紫外線などから身を守る成分がポリフェノールですので、人間が摂取しても同様に身を守る効果が出るのではないかと推測されています。
癌や高血圧、心臓病に効果があると言われていますが、これは本当なのでしょうか?
実際、様々な種類のポリフェノールを摂ることが健康を維持するという研究結果がいくつもあるようです。
A number of studies show that consuming polyphenols from a variety of sources may be more healthful than limiting ourselves to plants foods typically found in the Western diet.
The Disease-Fighting Power Of Polyphenols – Life Extension
赤ワインに含まれるレスベラトロールというポリフェノールは、抗酸化作用や悪玉コレステロール(LDL: low-density lipoprotein)を減らす効果がるため、高血圧を防ぐ言われています。
マウスを使った実験
Most research on resveratrol has been done on animals, not people. Research in mice given resveratrol suggests that the antioxidant might also help protect them from obesity and diabetes, both of which are strong risk factors for heart disease. However, those findings were reported only in mice, not in people.
Red wine, antioxidants and resveratrol: Good for your heart? – Mayo Clinic
訳 ほとんどのレスベラトロールに関する実験は人間ではなく動物で行われた。マウスを使った実験では、レスベラトールの抗酸化作用が、心臓病の主な原因である肥満や糖尿病を防ぐ効果があることを示唆した。しかし、この効果は人間ではなくマウスのみを対象とした実験での報告である。
赤ワインは、実際に何かしらの健康効果があることは確認されていますが、それがポリフェノールだけの効果かはまだわからないようです。
Although many are speculated to be part of the health-promoting effects of consuming fruits and vegetables, no evidence exists to date that dietary polyphenols actually provide health benefits.
…(略)…
indicating that most of what are consumed are extensively metabolized and excreted.
Health effects of natural phenols and polyphenols – Wikipedia, the free encyclopedia
訳 野菜や果物を食べることによる健康促進効果の多くがポリフェノールによるものと推測されているが、ポリフェノールが実際に健康促進するという証拠は存在しない。 ... 体に取り込んだポリフェノールはほとんど排泄されます。
とはいえ、実際の統計として
緑茶を1日5杯以上飲む人の死亡率は平均に比べて15%前後下がるという結果が出ています。(NHK「ためしてガッテン」2015年7月1日放送より)
お茶はほとんどが水なので、健康に関係する成分といえば、含まれているポリフェノールであるカテキンくらいではないかと推測されます。
お茶に含まれるカテキンというポリフェノールに健康効果があるのは間違いないと言えるのではないでしょうか。
チョコレートに含まれるポリフェノールの種類
チョコレートに含まれているポリフェノールを総称してカカオポリフェノールと呼んだりしますが、厳密には何がカカオポリフェノールなのでしょうか?
Three groups of polyphenols can be identified in cocoa beans: catechins, which constitute about 37% of the polyphenol content in the beans, anthocyanidins (about 4%), and proanthocyanidins (about 58%).
Of the catechins, (−)-epicatechin is the most abundant (up to 35%), while (+)-catechin, (+)-gallocatechin, and (−)-epigallocatechin are present in smaller quantities (Figure 1).
Cocoa Polyphenols and Their Potential Benefits for Human Health
日本語訳 カカオ豆には三つのグループのポリフェノールが確認されている。カテキンが約37%、アントシアニジンが約4%、プロアントシアニジンが約58%である。カテキンのグループでは、(−)-エピカテキンが最も豊富(35%ほど)で、(+)-カテキン、(+)-ガロカテコールや(−)-エピガロカテキンは少量である。
つまり、つまり、カカオ(とその加工品のチョコレート)に含まれているポリフェノールであるアントシアニジンとカテキンがカカオポリフェノールと呼ばれるものの正体です。
日本チョコレート・ココア協会の公式サイトにも下記のように、それを裏付けることが書かれていました。
カカオポリフェノールは、チョコレート・ココアの原料であるカカオ豆に含まれるポリフェノールのことです。カカオポリフェノールは、主に、エピカテキン、カテキンとプロシアニジン(エピカテキンやカテキンがいくつか結合した化合物)からなります。簡単にいいますと、エピカテキンをメインとするいくつかの化合物の混合物です。これらはフラバノールともよばれます。
チョコレート・ココア健康講座 | 日本チョコレート・ココア協会
カテキンの中でもエピカテキンが主にチョコレートによって摂取できるようです。
ちなみにプロアントシアニジンとプロシアニジンは、呼び方が異なるだけで同じもののようです。
なので、これ以降は「プロシアニジン」で統一します。このプロシアニジンはカテキンの結合物のようです。
プロシアニジンは単一の成分名ではなく、カテキンまたはエピカテキンの重合体の総称
プロシアニジン
カテキンは緑茶などにも含まれ健康効果があることが有名ですね。
チョコレートに含まれるポリフェノールの一つは、緑茶に含まれているものと同じだったわけですね。
確認されているカカオポリフェノールの健康効果
記憶力向上
コロンビア大学メディカルセンターの調査では、3カ月の調査期間中に高フラバノール飲料を摂取し続けた人々は、フラバノール含有量の少ない飲料を摂取した人々よりも記憶力テストの成績が良かったという結果が得られました。
チョコなら何でもいい訳じゃない!記憶力向上や認知症予防には”濃いやつ”を食べなきゃダメ
体重増加抑制および血糖値低減
マウスを対象とした実験ですが、体重増加抑制と血糖値レベル低減の2つの効果が確認されているそうです。
The latest study, published in the Journal of Agricultural and Food Chemistry, revealed that an antioxidant in cocoa can prevent mice from gaining weight and that it also lowered their blood sugar levels.
Chocolate could PREVENT obesity: Scientists say antioxidant in cocoa stops weight gain and lowers blood sugar | Daily Mail Online
日本語訳 "Journal of Agricultural and Food Chemistry" より発表された最新の研究では、ココアの抗酸化作用がマウスの体重増加を抑え、血糖値のレベルを低くすることが明らかとなった。
血管疾患の予防
血行が良くなり、血管のしなやかさの維持や動脈硬化の予防などの効果が見られたそうです。
カカオポリフェノール1120mg入りのチョコレートを連続3日間摂取して、全血通過時間を調査した結果です。4人中3人は短縮が認められ、6.7~16.2%の幅で変化しました。被験者のうち1名は風邪をひいたため、-16.67%と延長。風邪をひいた被験者Dを除外すると、なんと、10.0%の全血通過時間の短縮がみられました。
動脈硬化×チョコレート | みんなの健康チョコライフ
カカオと糖分の含有量に注意
チョコレートに含まれるカテキン系ポリフェノールが体に良いことはわかりましたが、だからと言って普通のチョコレートを大量に食べるのは問題です。
普通のチョコは甘くするために大量の糖分が加えられています。ポリフェノールに血管疾患予防効果があると言っても、それ以上に糖分を大量摂取してしまえば、糖尿病や高血糖になってしまします。
「カカオ○○%」のような、糖分がほとんどないチョコレートを食べると余計な糖分を取らずにカカオポリフェノールを効率良く摂取できます。
カテキン茶 vs チョコレート
実際に血糖値を下げるためにカテキン茶やチョコレートを試した方が身近にいたので話を聞いてみたところ、
「ブラックチョコは全然効かない。カテキン茶を大量に飲むようになってしばらくしたら数値が良くなり始めた」
とのこと。チョコだけで健康になろうとしても、量が少なすぎるのかもしれませんね…
おしまい
人間での実験結果はないようですが、長年とっている統計がポリフェノールの健康効果を示唆しているようです。
糖分の無いチョコレートは、健康効果がある上に歯にも優しいのでとても良いですね。
少量では効果が薄いかもしれませんが、普段のお菓子をこれに変えればマシにはなるのではないでしょうか??
様々な成分の健康効果が謳われる昨今ですが、販売促進のために盛っている可能性も否定できないので、本当に効果があるのか今後もしっかり調べていきたいです。
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