論文から読むお風呂の健康効果と入浴方法

最終更新日時 : 2016年11月20日
お風呂の健康効果

シャワーを浴びるよりも、お風呂でゆっくり湯船に浸かる方がなんとなく健康に良い気がします。

実際にシャワーとお風呂の違いを確かめるために、以下の論文から、シャワーと比べたお風呂の健康効果と、どんなお風呂の入り方が効果的かを調べてみました。

  1. 入浴法および入浴習慣が心身に及ぼす影響に関する研究(金沢大学)
  2. 運動後の疲労回復の方法としての入浴が身体に及ぼす生理学的な影響(愛知東邦大学)

シャワーにはないお風呂の健康効果

体に水圧がかかることによる血流の変化

お風呂の場合、全身に水圧がかかることで、体の隅々の血液が心臓に戻りやすくなり、さらに呼吸の量も増えるため体内の循環が良くなると言えます。

文献2より

水圧は全身に加わるため、その圧力で血管、特に皮膚表面の静脈が圧迫されて多くの血液が心臓に戻る。
そのため普段は400~450mLの心臓内の血液量が600~750mLに増え、心臓への負担は大きくなる。

また、横隔膜が押し上げられ肺の容量が1L程度少なくなり、これを補うため呼吸数が増加する。

下半身の負担軽減

水の浮力によって体が軽くなり、普段かかっている重力による負荷を受けなくなります。

特に、入浴は下半身を休める効果が高いようです。また、関節の柔らかくなり、筋肉の緊張を解して休めることができます。

文献2より

水面から頭だけ出している状態で、体重はおよそ9~10分の1になり、水位が胸の高さでは3分の1程度になる。そのため、特に下肢の関節への負担は減少する。また、筋や関節の緊張も軽減されリラックスすることができる。

文献1より

温熱作用により生体の軟部組織の伸展性が高まり、循環改善や発汗作用が現れ、その結果、代謝改善や疼痛緩和および筋緊張調整効果がもたらされる。

睡眠の質が良くなる

「浴槽」と「シャワー」と「何も浴びない」の3つのグループでの効果の違いを測定した実験が文献1(26ページ)で報告されています。

この結果、浴槽に浸かったグループの方が副交感神経優位となり、さらに心拍数も最も低下したそうです。つまり、お風呂に入った方が最もリラックスした状態の睡眠ができると言えます。

また、評価テストにおいては「起床時の意欲」「疲労回復感」で高い値を示したそうです。

睡眠中の足表面温度も浴槽に浸かったグループが最も高く、冷え性に効果があることが示唆されています。

温度が高いお風呂は危険

血管や心臓の病気が起こる可能性あり

昔から高い温度のお風呂は危ないと言い伝えられていたようです。

特に高齢者の場合、お風呂とそこから出た室内の温度差が大きいと血管の障害(脳卒中など)が起こる危険性が高まります。

文献1より

湯の温度が高くなれば血圧上昇や凝固能亢進などの身体への負荷も大きくなるため注意が必要である 20)。特に、高齢者においては入浴関連事故も多く、脱衣所や浴室内の室温と湯の温度差が原因であり、冬季の室温管理や湯温管理に注意することが促されている 21)。このことは、「一番風呂に老人を入れ
るな」という昔からの言い伝えにもなっている。江戸時代に健康や長寿を保つための心構えとして著された貝原益軒の養生訓の巻第 5 においても、「熱い湯への入浴は避けること。浴後は冷やしてはいけないこと。」などが記載されており 22)、入浴時の注意点は今も昔も変わらない。

また、湯船に浸かるということは前述のように水圧が体にかかり、心臓への血流量が増すので、心臓への負担は大きくなります。

この負荷が高い状態で温度の高いお湯に浸かってしまうと、心臓への負荷はさらに大きくなってしまいます。

肌荒れの原因になる

高温の入浴では、皮膚のpHがアルカリ性に傾き、かゆみなどの原因になることが示唆されています。

実際にアトピー性皮膚炎の方は、比較的低温のお風呂に入ることを勧められているそうです。

文献1より

高温の入浴時においては、アルカリ側に傾く影響は約12時間続くとの報告もある 44)。アトピー性皮膚炎などでは、皮膚温上昇による掻痒感の増幅が懸念され、38℃以下の低温浴が推奨されている 44)。さらに、皮膚の乾燥は痒みを生じることも多く 52)、角層水分量を保持することは乾燥による痒みを抑制する上でも重要である。また、深部体温の上昇により血漿ヒスタミン濃度が上昇することが知られている 46)。したがって、38℃よりも 42℃の入浴が皮膚の乾燥を高め、痒みに繋がる可能性は高いと言える。

基本となるお風呂の温度は40℃

42℃の入浴では上記のような弊害があり、38℃では保温効果があまり期待できないという結果が出ています。それを受け、文献1では以下のように結論付けています。

38℃の入浴は、後に行った被験者 11 名の検証において、個人によるバラツキが認められた。したがって、身体への負荷を軽減し確実な温熱作用のある入浴法として 40℃が適しているとも考えられる。

身体への負荷を少なくし、出浴後の体温を保持させる入浴法は、湯温度を約 40℃前後に設定
し、入浴時間を長めに調整しながら体温を上昇させることが好ましいと考えられた。目的や体調に合わせて、身体への負荷を考慮した入浴方法を選択することが重要である。

ただし、不眠症やノイローゼなどの治療に用いられる微温湯は39℃であり、精神的なリラックス効果を得たい場合は40℃よりも低い温度に浸かるのが効果的であると言えます。

運動直後の入浴に疲労回復効果はない

文献2より、運動後に30℃〜38℃のお風呂に入ることでは、血中乳酸濃度の(効果があると言えるレベルでの)変化は確認されなかったと結論付けています。

本研究の目的は、激運動後に行う疲労回復方法としての入浴の効果を検討することであり、30℃、35℃、38℃入浴と入浴なしを比較した。その結果、入浴による血中乳酸濃度の低下(回復)促進は認められなかった。

おしまい

以上のことから、シャワーよりもお風呂に入る方が様々な入浴の効果が得られ、肉体的・精神的健康に影響するようです。

入浴習慣がある方は、アンケートにより「緊張・不安」が低く「主観的健康感」が高かったと報告されています。(文献1より)

おしまい

論文は実際に行った実験から得られた結果であるため、最も信用できる健康情報源と言えます。

興味のある方は元の論文を是非読んでみてください。どういった実験の結果から以上の結論が導き出されているのかが理解できれば、納得して信用することができます。

入浴剤についての効果は次の記事をご覧ください。

入浴剤に含まれる成分とその健康効果

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